このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

その他代数

ベッチ・オートマトン

2-豊饒化(2-enrichments)とベッチ・オートマトン - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編に2-豊穣化が出てる。http://arxiv.org/abs/cs/0602077 に基づく議論。だが、これは大げさ。次で十分だろう。Mを順序モノイドとする。典型的には Lang(Σ) = Pow(Σ*) に連…

ワージントンの言語の定義と解釈

Definition 6.3.Let A = (M, A, s, ・, Ω) be a left K-linear automaton. The language accepted by A is the function ρA : A → K such that ρA(a) = Ω(a・s). オートマトンの受理言語(accepted language)を集合ではなくて線形写像(射)として捉える。 …

ワージントン・オートマトン

あれれれっ!? James Worthingtonのオートマトンに言及してなかった。例えば、 Title: A Bialgebraic Approach to Automata and Formal Language Theory Author: James Worthington URL: http://www.math.cornell.edu/~worthing/bialgebra.pdf Kを基礎半環(…

ベキ等性のインチキ

プロビジョニングの文脈で言っているベキ等性(idempotence)がインチキくさい。おそらくインチキだろう。僕の感覚では、ベキ等に出来るわけがない。感覚でなくてちゃんと示したい。状態空間があって、その上の自己射(endomorphism)からなるモノイドを、遷…

タオのトレース可換環の表現論 (7) スペクトル理論

ノルムの評価 |ax| ≦ ρ(a)|x| がスペクトル理論使うとすると、代数的スペクトル半径の有限性だけをたよりにスペクトル定理を示す必要がある。非可換代数確率空間のスペクトル理論は、タオの次の記事に書いてある。 254A, Notes 5: Free probability | What's…

タオのトレース可換環の表現論 (6) 仕切り直し

スペクトル半径ρ(a)とユークリッドノルム|a|, |x|に関する不等式 |ax| ≦ ρ(a)|x| を代数的に示すのは無理なような気がしてきた。タオも、別な所ではスペクトル理論をヘビーに使って示している。示す順番が違うと思う。つまり、スペクトル理論を入れてから分…

タオのトレース可換環の表現論 (5) プレトレース

トレースの条件から有界性を除いたものをプレトレースと呼ぶことにする。可換とは限らないスター環なら、 [線形性] τは線形形式である。 [正半定値性] τ(x・x*)≧ 0 スターを持たない可換環なら、 [正半定値性] τ(xx)≧ 0 実係数のプレトレース可換環があると…

タオのトレース可換環の表現論 (4) 作用素ノルム不等式

x を、xのヒルベルト/ユークリッド・ノルムとして、ρ(a)をスペクトル半径とするとき、次の不等式が欲しい。 |ax| ≦ ρ(a)|x| aによる掛け算をヒルベルト空間の作用素(自己随伴は自明)とみて、|ax|/|x| がρ(a)で抑えられることを主張しているので、掛け算作…

タオのトレース可換環の表現論 (3) 半内積とノルム

内積の公理から「(x|x) = 0 ⇒ x = 0」だけを外した二次形式を何と呼ぶか? 見当たらない。「非退化」を仮定しないことなので「退化」という形容詞を付けてもいいが、「退化している」ではなくて「退化を許す」だから、ちょっと違和感がある。半ノルム(semi-…

タオのトレース可換環の表現論 (2)

トレースの公理で、p = 2, 4, 8, 16, ... と2のベキ乗だけを考えて、「τ(fp)1/p が有界である」だけでいいようだ。|f|p := τ(fp)1/p としてpノルム(pは2のベキ)を定義して、次の変形ヘルダーの不等式を示す。 |fg|p ≦ |f|2p|g|2p これのベースとなるのがコ…

タオのトレース可換環の表現論

超天才テレンス・タオはやっぱり常人とは違うな。 Algebraic ProbabilitySpaces -- Algebraic probability spaces | What's new 「オリジナリティはなくて、より一般的な構成の特殊な場合にすぎない」とか書いてあるが、これは凄い。ストーリー展開が見事す…

総和 4: Partially Additive Structure

総和可能族の類を用いた定式化:Mは0を持つ集合で、x:I→M は添字集合Iを持つ族。 0→M は総和可能 1→M は総和可能 x:I→Mが総和可能で、f:J→I が単射なら f;x は総和可能 x:I→M、g:I→K があって、xのf-1(i)への制限がすべてのiについて総和可能のとき: f*(x) …

総和 3

さらに続き: Mは特定元0を持つ集合 σ⊆Mω S:σ→M 任意の x:ω→M と任意の A⊆ω に対して、 (x/A)(i) = if (i∈A) then x(i) else 0 と定義する。(M, 0, σ, S) の公理系は: [制限が定義可能] x∈σ ならば、任意のAに対して x/A ∈σ [空の和] S(x/0) = 0 [単一の和]…

総和 2

総和の定義、次でだいたいいいのだろう。Mは0を持つ集合。σ⊆Mω、S:σ→M があって: λi.0 : ω→M に対して S(λi.0) = 0 a∈Aに対して、a^(0) = a, i≠0なら a^(i) = 0 とすると、S(a^) = a S(x) が値を持つなら、ωの任意の部分集合Aに対して、S(A, x) = S(x/A) が…

総和

基数の集まりΘで、次の条件を満たすもので総和を考えたことがある。 1∈Θ α, β∈Θ ⇒ (α+β)∈Θ α∈Θ, α≦β ⇒ α∈Θ 0 ≦ 1 なので、0∈Θ、有限基数はすべてΘに入る。可換モノイドMがあって、Mの元のX添字族 x:X→M が、#(X)∈Θ なら総和可能、という条件を考える。これで…

森田同値の2つの形

Title: Morita equivalence of many-sorted algebraic theories Authors: Jiˇrí Adámek, Manuela Sobral, , Lurdes Sousa URL: https://estudogeral.sib.uc.pt/bitstream/10316/4616/1/filee8df8c9585d34e1a8d56fdaf0460d008.pdf によると、森田同値は2つの…

項集合とコゥゼン代数とモナド

項集合代数(termset algebra)=コゥゼン代数 古い順: Σコゥゼン σ-順序代数 - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編 コゥゼン代数再び - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編 コゥゼン代数もっと - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編 項と項集合 - 檜山正幸のキマ…

ソフトウェアにおける change-of-base

加群の理論だと、The change of base of a module M のような言い方をする。これと、ぶっちゃけ何の関係もないが、雰囲気的に近い概念。あるソフトウェアAが、ライブラリLに依存して作られているとき、LをL'に置き換えてAを動かすことが change-of-base 。多…

さらに行列計算

トータルマトリックスは、リソースインスタンス(リソースID)セット(横軸)とアクションセット(縦軸)の上にエントリーポイントを配置したものだが、成分の値であるエントリーポイントを全部集めた集合をサービス空間と呼ぶことにする。通常、状態(state…

コゥゼン代数もっと

http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20100109/1263025526 http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20120210/1328853295 これらの続き。いやいやいや、コゥゼン代数やっぱり非常に便利だわ。コゥゼン代数(Kozen algebra)は僕の命名で、コゥゼン自身は terms…

コゥゼン代数再び

http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20100109/1263025526 で「Σコゥゼン σ-順序代数」てのを導入したが、あれは大事だ。すごく役に立つ。公理が: [ジョイン演算の保存]f(..., x∪y, ...) = f(..., x, ...)∪f(..., y, ...) [全射性(生成性)] ∪f(1, ...,1)…

ニルス・ジョンソンの米田/森田理論

ニルス・ジョンソン(http://www.nilesjohnson.net/)の米田/森田理論をチラ見したが、全然わからない。リカード(Rickard)の定理が森田定理の一般化らしいが、それを理解するには、さまざまな予備知識がいる。 The dual basis lemma -- 知らん。半加群のd…

FLT(formal-language-theoretic)代数

AがFLT代数だとは: 加法的ベキ等な(可換とは限らない)環である 加法から決まる順序に対してω完備である。これをω-ISRと呼ぶ。 順序に関して原子的、乗法に関して素な元の全体(atomic primes)が、ω-ISRとしての生成系になっている。 零因子を持たないこ…

続々・森田同値

「森田同値は役に立ちそうだ」は僕の勘と思い込みだから、まったくの間違いである可能性がある。が、とりあえずはいい目標が出来た。代数的プログラム意味論のなかで森田の定理を再現したい。つまり、森田同値と森田双加群の1:1対応を作りたい。森田同値は…

続・森田同値

森田の定理って1958年に発表されていたのか。古いんだなー。森田同値や、それを実現する森田双加群(morita bimodule)の代数的プログラム意味論での対応物があるはずだと思う。ほんとのところ、環と加群ではなくて(非可換)半環と半加群だから、アーベル圏…

森田同値

森田の定理(Morita theorem)がどんな主張かはじめて知った。可換とは限らない環A、Bがあるとき、左加群の圏 A-Mod, B-Mod が圏同値であるとき、AとBは森田同値という(定義)。森田同値が、多元環の同型から導かれるとは限らない。森田同値の具体的な姿を…

三方加群

やっぱり、trimoduleが必要だ。R, S, T が多元環として、多元環の転置(逆、共役)を (-)t で表すとして、R(×)St左加群は、R左、S右の両側加群。同様に、R(×)St(×)Tt とかを考えることができる。3つの多元環が作用している加群が三方加群。三方を左R、右S、…

代数的プログラム意味論

TQFTとの類似を考えたプログラム意味論は幾何的プログラム意味論とでも言えるだろう。最近、代数的な定式化にも傾いている。本質は同じだけど。 プログラム 代数 状態空間 加群 プログラム 多元環 状態点 加群の生成系 インストラクション 多元環の生成系 遷…

マグマ

Σが指標で、公理が一切ないとき、指標シグマのモデルはΣ-マグマだ。指標Σと公理(法則)が意外と強く(心理的に)結びついていることがあるので、マグマって概念は重要。

引き算ができないと

半環係数の世界でコホモロジーはやっぱりうまくいかないな。射の核が定義はできるが意味を持たない。うまくいくためには、まともな核と余核の存在が非常に重要。そもそも、(コ)サイクルZと(余)境界Bとの「差」をとらないといけないが、引き算ができないから…