このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

タオのトレース可換環の表現論 (5) プレトレース

トレースの条件から有界性を除いたものをプレトレースと呼ぶことにする。可換とは限らないスター環なら、

  1. [線形性] τは線形形式である。
  2. [正半定値性] τ(x・x*)≧ 0

スターを持たない可換環なら、

  • [正半定値性] τ(xx)≧ 0

実係数のプレトレース可換環があると、p = 2, 4, 8, 16, ... に関してp-ノルム |x|pを定義できる。

プレトレース可換環のなかで、|x|2 ≦ |x|4 ≦ |x|8 ≦ ... は示せる。だが、有界性は出てこないので公理を追加するしかない。有界性の公理を追加するとトレース可換環となる。

トレース可換環では、|x|2 ≦ |x|4 ≦ |x|8 ≦ ... ≦ |x|2 として特徴付けられる 2ノルム=スペクトル半径が定義できる。スペクトル半径をノルムとする可換ノルム環が構成できることが、[pノルム有界性]の恩恵。