このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

ワージントンの言語の定義と解釈

Definition 6.3.

Let A = (M, A, s, ・, Ω) be a left K-linear automaton. The language accepted by A is the function ρA : A → K such that ρA(a) = Ω(a・s).

オートマトンの受理言語(accepted language)を集合ではなくて線形写像(射)として捉える。

  • Mは加群(の台)
  • Aは係数(スカラー)代数
  • s∈M はスタートベクトル
  • ・はスカラー乗法
  • Ω∈ModA(M, K) は観測コベクトル

オートマトン構造から一意的に決まる ρ:A→K という線形写像が受理言語。メイヤー流で言うならば、ρは実験=拡張観測となる。Ωが観測コベクトル(つまりクエリー)なので、Ω(a・s)は、「初期状態を準備してからaという刺激を外部から加えてから観測する」ことになる。

ρ(a) は、刺激反応系の観点からは「刺激aを使った観測」となる。観測結果はクエリー値集合に入る。別な言い方をすると、「初期状態の準備と実験手順aによる操作を加えた後の標準観測」がρで、標準観測Ωを手順aにより拡張している。

プログラミングの観点では、aはプログラムコードなので、「初期状態からaを走らせた後で、事後条件をチェックする」ことになる。事後に期待される値をkとすると、ρ(a) = k は命題となり、{a∈A | ρ(a) = k }は、期待した結果を出すプログラムコードの集合となる。

ρは、プログラムコードを与えられて、そのコードの結果を返す関数とも言える。

ρは、観測Ωに付随する結果関数(result function)とか言ったほうがふさわしいだろう。期待結果(exptected result)ごとに、妥当なプログラムコードの集合が定まる。

expectation=期待表明を、(初期状態, コード, 期待結果) で表現するとして。安全な期待表明のセットを作成することと、結果関数ρを与えることは同じ。エルブラン/マイヒル/ネロードの枠組みだ。