リボン圏、プレ・リボン圏
H.B. Posthuma "Quantization of Hamiltonian loop group actions"(http://remote.science.uva.nl/~npl/proefschrift.pdf)を見てのまとめ/雑感。
数理物理だと、モノイド圏をテンソル圏と呼ぶことが多いようだ。特に、対象がベクトル空間の時はそう呼ぶ。ブレイド付きテンソル圏(モノイド圏)は、ブレイディング自然変換βを持ったテンソル圏。βとその逆β'によりブレイドが生じる。ブレイディングの公理は次:
βとβ'が等しいとき、ブレイディングは対称(symmetric braiding)に退化する。
テンソル(モノイド)圏において、各対象VごとにV*、ηV:1→V×V*、εV:V*×V→1 があり、(V, V*, ηV, εV)がジグザグ公式(三角恒等式、剛性恒等式)を満たすとき、剛(リジット)テンソル圏と呼ぶ。
V|→V*を可逆関手とする定義もある。このとき(-)*の逆を*(-)と書く。定義より、*(V*) = (*V)* = V である。剛性の定義は、コンパクト閉性と同じで、数理物理や幾何学の剛テンソル圏とは、結局(多少の揺らぎはあるが)コンパクト閉圏である。
リボン圏(ribbon category)は、剛ブレイド付きテンソル圏にひねり同型(twist isomorphism)を加えた構造である。しかし、双対(随伴)と剛性はなくてもひねり(ツイスト)は定義できる。そこで、ブレイド付きモノイド圏にひねり同型を加えてプレ・リボン圏が定義できる。ひねりの公理は:
- θX,Y = (θX×θY);βY,X;βX,Y;
ちなみに、リボン圏では θX* = (θX)* を付け加える。
双対*が存在するなら、半ひねりをρとして、ρの逆ρ'を使って、次のように定義するのもいいように思う。
- ρX,Y = (ρX×ρ'Y);βY*,X*