このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

境界と全空間

力学法則が乗った空間(正方行列H)があるとき、空間全体の時間発展(exp(Ht), t≧0)が完全に分かれば、特定の始境界/終境界と時区間を指定した伝搬現象は当然ながら完全に分かる。境界や時間を特定することとは、全空間の全歴史のごく一部を取り出すことに過ぎないから。

一方で、特定の始境界/終境界、特定の時刻、時区間の情報を知りたいなら、全空間の全歴史が必要なわけではない。無駄な計算になるから、必要なことだけやればいい。

まとめると:

  • 全空間の全歴史(大域的な時間発展)がわかれば、どんな始境界/終境界、時間を指定しても分かる。
  • 特定の始境界/終境界、時間に関する情報を知るには、全空間の全歴史を知る必要はない。

この2つは当たり前だが、アルゴリズムを考えるときの指導原理としてはすごく重要。理論的には、全空間の全歴史を記述できる形式を求めるのだ。が、実際的には効率を上げるためにできるだけ無駄な計算をしないようにする。

時刻tからt'に状態を発展させる作用素を P(t, t') とする。発展法則に重ね合わせが許される形なら、P(t, t')は加法的作用素、まー行列と思ってよい。時刻tでの状態がψ(t)なら、P(t, t')ψ(t) = ψ(t') でt'の状態が与えられる。法則が時刻によらないなら、発展作用素は時間推移の加法に関して指数法則を見たす。P(s + s') = P(s')P(s) 。