2次元のパッヒナル・ルール
2次元のパッヒナル移動(Pachner move)は、対角フリップと星状細分/融合の二種類。外枠(ローカル変形の境界条件)となるのは四角形と三角形。
これを書き換えルールと考える。ルールが適用される部分複体をリデックス、適用結果はコントラクタムと呼ぶ。これは項書き換えの用語。
リデックスは、単なる複体ではなくて、辺にdirectionが付与されている。対角付き四角形では5辺、星上分割三角形では6辺にdirectionを付与する。
direction(の双対であるco-direction)は自由なわけではなくて、傾向(trend)に対して進行的である必要がある。進行的なco-directionをすべて列挙することが、パッヒナル・ルール記述の最初の作業。
- 対角付き四角形の進行的co-directionは、4種類+3種類
- 三角形の進行的co-directionは、2種類
- 星状分割三角形の進行的co-directionは、4種類
これらのco-direction付きの三角複体が、パッヒナル・ルールのリデックスとコントラクタムになる。リデックス&コントラクタムのリストが得られれば、パッヒナル・ルールを書き下すのは難しくない。
パッヒナル・ルールとヌル三角形(ロックされたドアを持つ部屋)を潰す/挿入(増設)する操作を推論規則とする演繹系を作れる。この演繹系による証明が一般的な変形に対応する。
この演繹系(形式的体系=構文的対象)に対する意味論が、TQFTっぽい関手となる。関手が値を取る圏が“真偽値と論理演算”の圏だが、もっと一般的には“量の計算”の圏と言ってよい。演繹系が計算の構文と手続き、意味論が計算の量的実質を与える。