FHKのオモチャ 4 関手的な構造
平面内の多面体領域Pに対して、線型写像 Z(P):An→Am を対応させる「多角形→線型写像」という対応がFHK対応。FHK対応はFHKの2次元格子位相的場の理論(2d-LTFT)を簡素化したtoy theory。
多面体Pは P = Polygon(α, γ) と書けるとする。ここで、α,γは、平面内の折れ線(polygonal curve)。折れ線は、弧(arc, curve)のシーケンスでRの区間からの区分近線形(piecewise nearly linear)となるもの。近線形は線形であるか、または円弧のファフィン変換像。
折れ線の同値関係は、折れ線のセグメント数を保存して、各セグメント(ピース)ごとに1次元アフィン関数の変数変換で写り合えること。α = f;β, β = f-1;α。
折れ線に関する用語と記号:
- segs(α) αのセグメント数> 1、最後の点の番号
- start(α) 開始点
- goal(α) 到着点、start(α) = goal(α) のとき、閉じている。
- |α| αの像集合⊆R2
- α#β αとβの連接(concatenation)
- αが閉じているとき、Poly(α) はαが囲む領域
- α#β が閉じているとき、Poly(α, β) = Poly(α#β)
多角形:
- 位相的には閉円板と同相
- 境界は円周と同相
- 境界上の2点が指定されている。
- 境界が入力境界と出力境界に分けられている。
- 少なくとも1つの三角形分割を持つ。
α#βが閉じた折れ線の対 α, βから一意的に入出力付き多角形(polygon with input/output)が決まる。Triang(α, β) を多角形の三角形分割の全体とする。ただし、境界の分割(PL構造)は固定する。
平面内の折れ線の全体をPolygonalCurveとする。Triangは、PolygonalCurve上の半圏となる。恒等はないが、結合 Triang(α, β)×Triang(β, γ)→Triang(α, β) は存在する。境界分割を固定しているので、それが可能になる。
恒等を入れるには、退化した多角形=重なった折れ線を認める必要がある。退化した多角形には内点が存在しないので、やりにくい。ヌル辺を認めて内点を入れるってアイデアもあるが、どうかな? バタニンの球体のような感じだろう。
三角形分割をK, Lなどで表すと、点集合としての多角形をP、その上の三角形分割をKとして、Z(K) = Z(K/P)とすると、Z(K;L) = Z(K/P;L/Q) = Z(K);Z(L) という関手性がある。
ホムセット Trig(α, β) は、亜群となるので、半圏Trigは亜群豊饒圏(=トラック圏)となる。Trigでの射は三角形分割で、2セル(トラック)は三角形分割の変形(move)である。変形は可逆なのでTrig(α, β)は亜群となる。
Σを多指標として、SDiag(Σ) は対象がNである圏となる。射は形式的ストリング図である。SDiag(Σ)(n, m)はn-in m-outのストリング図の集合。ストリング図の書き換えをトラックとしてトラック圏となる。
三角形分割の変形(move)は、ストリング図の変形(move, rewrite)になるので、FHK対応は、TriangからSDiag(Σ)へのトラック圏のトラック関手となる。
任意の多角形 P = Polygon(α, β) に対して、Triang(α, β)は可縮(強連結)な圏となる。FHK対応が、三角形分割に依存しないでwell-definedだということは、SDiag(Σ)におけるトラックが、Vectにおけるトラックに移ること。Vectのトラックは等号だから、SDiag(Σ)のトラック同値性関係が、Vectの等式となり、等式群が特殊フロベニウス代数の公理系となる。