圏的オペレータとシーケント
圏的オペレータを考えるといいことのひとつが、シーケントの(とりあえずの)意味論ができることだ。
シーケントを射と思うと、基本推論は、0個、1個、2個のホムセットの直積から1個のホムセットへの写像と考えることができる。ホムセットを(a, b)のように書くことにすると、推論は、|- (a, a) とか (a, b),(b, c) |- (a, c) のように書ける。
この方針で、有限個のホムセットの並び(ストリング)を対象とする圏(むしろ多圏)を作れる。この圏のモノイド積は連列で非対称。モノイド単位は空な並び。基本推論(に対応するオペレータ)が生成射になる。生成射から生成された自由圏が証明の圏ということになる。証明の圏の射=証明が、もとの圏上にうまく2-射を定義できる保証はない。が、いずれにしも証明の圏はもとの圏と強い関係がある。
問題意識としては、命題=対象、自然演繹=射である圏があるとき、自然演繹=シーケント=対象、ゲンツェン証明=射である圏をどう構成するのか、もとの圏=自然演繹の圏と、構成された証明の圏はどう関係するのか? さらには証明の変形/書き換えを2-射とするとき、2-射をどう構成するのか? などだろう。
ジラール(Girard)がいうように、証明図が「式」で、証明図の変形が「計算」、それ以上変形できない証明図が「値」である計算論も構成できるのだろう、おそらく。