反射的対象とスノーグローブな世界
反射的対象(reflexive object)に関する良い文献が見つからないなー。まー、いいか。
ベキ(指数)を持つ圏において、[A, B]をベキ対象(power object, exponent, exponential object)だとする。対象Rが反射的とは、[A, A]がAと同型になること。デカルト圏の終対象1は反射的だが、これはつまらない。つまらない例を排除するには、任意のAに対して、A→R というモニックの存在を仮定すればいいが、この条件は何か名前が付いているのだろうか? 普遍的(universal)と言いたくなるが、普遍的には別な意味があるからダメだろうな。
ともかく、“十分に大きな”反射的対象Rがあれば、そのRのなかに圏全体Cを埋め込むことができる。おおよそ(不正確だが) C⊆R、R∈C と考えていいわけだ。すると、C→C の関手はR→Rの射で表現できるから、[R, R]に入ると思ってよい。ところが [R, R]=R だ(とみなせる)から、関手でさえRのなかに入る。同様に自然変換もRに入る。Cから構成的に作られるすべての圏からなるレルムがCの対象Rのなかに埋め込むことができる。世界がをモノに投影できるだけじゃなくて、複数の世界からなる宇宙も呑み込むようなモノがRだ。
ここらへんは、スノーグローブまたはマイクロコスモスの原理、日本風に言えば箱庭の原理だな。世界はマトリョーシカの構造を持つ。スノーグローブはバエズ(Baez)の言葉だが、豊饒圏についてバエズはピノキオだと言っていた; 生まれたときは圏に似てはいるが圏ではない、しかし後で圏にしてもらえる、てな意味。さすがにバエズ、スノーグローブもピノキオも面白い例えだ。スノーグローブとピノキオは、再帰的世界観を支えるものすごく重要な概念だ。