さらに、コンドルセのパラドックス
- 局所的に整合でも、大域的な不整合は起こり得る。
「局所的」の意味を2つに分ける。
- セル局所的〈cell-wise locally〉
- 範囲局所的〈range-wise locally〉
すると:
- セル局所的に整合でも、大域的な不整合は起こり得る。
- 範囲局所的に整合でも、大域的な不整合は起こり得る。
一番目は、単に複体Kとその上に形式を乗せた(K, α)における問題として解釈できる。二番目は、単一の複体の話ではなくて、複体と被覆〈cover | covering family〉との関係。範囲は被覆の要素である射のこと。
セル局所的(微細局所的とでも言うか)と範囲局所的の関係をハッキリさせるために、やはり被覆機構付きの圏が必要。被覆機構付きの圏を整地圏と呼ぶのがいいと思ったが、さっそくに心変わりで、敷地のほうがsiteっぽいか、と。
敷地は被覆機構で決まるから、被覆機構の種類ごとに敷地の種類も多様だろうし、使い途により敷地の定義は変わっていいだろう。いずれにしても、前層を台とする層様な対象〈sheaf-like objec〉の圏を考えることになる。
コンドルセ・サイクルに関しては、次の主張を考える。
- コンドルセ・サイクルが存在することがある。
これは、次の主張を否定している。
- コンドルセ・サイクルは存在しない。
もっと細かく言うと:
- すべての状況において、コンドルセ・サイクルは存在しない わけではない。
ここで、「状況」が問題になり、どのような対象物に関してコンドルセ・サイクルの有無を問題にしているかハッキリさせる必要がある。
ここでも:
- 複体Kに1-形式αがのったモノを対象と考える。
- 複体K上の被覆Φがあり、Φに1-形式αがのっていて集約手続きがあるときを考える。
被覆 Φ = {φi:Ui→X | i∈I} に関して、
- ΣΦ = (Ui のiに渡る直和)
- (φ:(ΣΦ)→X) = (φi のiに渡るコタプル)
とする。αはΣΦに乗っており、φに沿って前送りされて φ*(α) on X が出来る。(ΣΦ, α) と (X, φ*(α)) を比較することが必要。二番目の意味、つまり範囲局所的なコンドルセ現象は、αが整合していて、φ*(α) が不整合のときを意味する。
コンドルセ・サイクルそのものの意味を再考する。サイクルは、サイクリックパスとサイクリックチェーンの二種類の意味がある。サイクリックパスは、長さℓの竹グラフβℓからのグラフ写像の特殊なものとも、長さℓのサークル・グラフγℓからのグラフ写像とも解釈できる。サイクリックチェーンは単に代数的な複体のサイクル=境界作用素の核に入るベクトルのこと。
以下、サイクリックパスとサイクリックチェーンを区別せずにサイクルと呼ぶ。
c∈C1(K)がコンドルセ・サイクルだとは、B(c) = 0 という意味でサイクルであり、適当な1-形式αがあって、<α|c> ≠ 0。
コンドルセの主張が否定しようとしている命題は:
- × すべてのKにおいて、その1-形式の空間は、サイクルの空間に直行する。
サイクルの空間に直行する空間は Ker(B)⊥ で、これは Im(B†) だから、コバウンダリの空間 Im(D) となる。つまり、
- × すべてのKにおいて、その1-形式の空間は、コバウンダリ空間である。
否定すると、
- とあるKにおいては、その1-形式の空間は、コバウンダリ空間ではない。
これで、けっこうスッキリするが、アジェンダセッティングの問題は手付かずだ。