ラプラシアンなしのホッジ分解
普通の記法 | 使う記法 |
---|---|
∂ | B |
d | D |
δ | A |
Δ | L |
呼び名:
- ∂, B : 境界作用素、バンダリ作用素
- d, D : 余境界作用素、コバンダリ作用素、外微分(作用素)?
- δ, A : 余微分(作用素)?、ベルトラミ(微分)?作用素
- Δ, L : ラプラス作用素、ラプラス/ベルトラミ作用素、ラプラシアン
ラプラシアンを、dδ + δd の形に書いたものは、ホッジ流のラプラシアンと呼ぶこともあるらしい。ホッジ・スター'*'を使うと、符号±を除いて δ = *d* と書ける。
- ラプラシアンΔは、陽な座標がなくとも、ベルトラミ作用素δがあれば、ホッジ・スタイルで書ける。
- δはdとホッジ・スターで書ける。しかし、ホッジ・スターがなくても、微分形式の空間に内積が入っているなら、内積を使ったdの随伴作用素としてδを定義できる。
- よって、内積があればホッジ・スターがなくてもベルトラミ作用素(余微分作用素)を定義できる。
- ベルトラミ作用素があれば、ラプラシアンが定義できて調和形式も定義できる。
- しかし、調和形式の定義には、ラプラシアンも不要で、コサイクル空間=外微分作用素の核と随伴コサイクル空間=ベルトラミ作用素の核 との共通部分を取ればいい。
- ホッジ分解は、コサイクル空間、随伴コサイクル空間、コバンダリ空間、随伴コバンダリ空間があれば構成できる。
- ホッジ分解により、調和形式の空間(=コサイクルかつ随伴コサイクルの空間)はコホモロジー空間と同型になる。
伝統的用語法との対応
伝統 | 使う |
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微分形式 | 形式、フォーム、コチェーン |
閉(微分)?形式 | コサイクル |
完全(微分)?形式 | コバンダリ |
余閉(微分)?形式 | 随伴コサイクル |
余完全(微分)?形式 | 随伴コバンダリ |
調和(微分)?形式 | 調和形式 |
記法
- (C●, B●) チェーン複体、番号付けは、Bk:Ck→Ck-1
- (Ω●, D●) コチェーン複体=形式余複体、番号付けは、Dk:Ωk→Ωk+1
- (Ω●, A●) 随伴形式複体、番号付けは、Ak:Ωk→Ωk-1
- D = B* 星は双対を表す。
- A = D† ダガーは随伴を表す。随伴空間という概念は事実上なくて(V† = V)、随伴写像の概念がある。
- チェーン複体に関するホモロジー、コチェーン複体(=ド・ラーム複体)に関するコホモロジー、随伴形式複体に関するホモロジーが取れる。
複体の整理:
名前 | ベクトル | 微分 | 微分の方向 |
---|---|---|---|
チェーン複体 | チェーン | 境界作用素 | 次数下降 |
ド・ラーム複体 | 形式 | 外微分作用素 | 次数上昇 |
随伴ド・ラーム複体 | 形式 | ベルトラミ作用素 | 次数下降 |
代数的複体の操作
- ℓ/2 での次数反転 Bk = An - k
- ℓだけの次数シフト Bk = Ak + ℓ
- 双対複体 Bk = (Ak)*
- 随伴複体 Bk = (Ak)†