代数的複体の概念
圏Cに値を取る代数的複体という概念をCplx(C)と表すことにすると:
- Cが付点圏〈pointed category〉(零対象を持つ圏)であれば、Cplx(C)を定義できる。
- Cが加法圏でないと、複体のあいだのホモトピー同値関係を定義できない。
- Cがアーベル圏でないと、複体のホモロジー/コホモロジーをを定義できない。
通常は、ホモロジー/コホモロジーを定義したいので、Cはアーベル圏にとる。が、とりあえず付点圏の範囲でやれるところまでやるのは意味がある。Cは付点圏だとする。
まずは、Z∪{⊥} を対象とする圏を生成箙で定義する。
これは、互いに反対圏となっている2つの圏(の生成箙)。どっちかをΓとすると、もう一方がΓopとなる。仮に上のほうをΓとする。
付点圏の圏のホムセット(ホム圏ではない)をPtCat(C, D)とする。圏(2-圏ではない)PtCatで、指数 [C, D]が作れる。特にPtCatの指数だということを強調する意味で [C, D]pt とも書く。
以上の設定のもとで、Γ∈|PtCat|、もちろん Γop∈|PtCat|。C∈|PtCat| に対して、[Γ, C]pt, [Γop, C]pt が再びPtCatに入る。PtCatは直和を持つので、次が作れる。
- [Γ, C]pt[Γop, C]pt
S:Cop→C は、S:C→Cop とも言えるので、S*S:Cop→Cop を作れて、さらに S*S:C→C とみなせる。よって次の自然変換ιに意味がある。
- ι::S*S⇒C^:C→C
ιが自然同型のとき、(S,ι)をC上の反対合〈anti-involution〉と呼ぶ(https://en.wikipedia.org/wiki/Involution_%28mathematics%29)。重要な事実は、
- Cが反対合を持つなら、[Γ, C]pt[Γop, C]pt にも反対合が入る(持ち上がる)。