モリソンとウォーカーの球塊複体 ゴタゴタ・グダグダ
モリソン/ウォーカー(Morrison, Walker)のblob複体理論は、あまり受け入れられてないようだ。が、マイナーでもまーいいや。
blobには「球状の小さな塊」という意味がある。blob complexのblobはこの意味だろう。で、球体はglobeやballで使うから、blob=球塊〈きゅうかい〉にする。カタカナ書きはブロブじゃなくてブローブと伸ばそう。ブロウブのほうがたぶん音が近いが、ウは不自然だから音引き。
多様体の被覆で、メンバーが開球体と同相で、メンバーの任意個の共通部分を取っても球体のとき、球塊被覆と呼ぶことにする。モリソン/ウォーカー理論は、球塊被覆で計算すると簡単になるし、おそらくはうまい球塊被覆を見つけるような話だと思う。
物理で出てくる「場」はよくわからんが、モリソン/ウォーカーの文脈では、中身は何でもいい。多様体上の層または余層なら、なんでも「場」と呼んでいい。層/余層が値を取る圏もなんでもよくて、とりあえず集合圏だと思ってよい。層か余層かの区別も、値を取る層をひっくり返せばあまり区別する必要もない。
開集合には開球体を使って層/余層を定義するのが球塊理論=モリソン/ウォーカー理論。
Cが球塊的層(とりあえずは前層)だとは、開球体(open ball)UごとにC(U)が定義されていて、V⊆U に対して C(U)→C(V) があればいい。Cとして、余次元1の部分多様体の集合を取る。Cは、開球体じゃなくても定義できるので、一般にはC(M)が定義できる。そして、C(M)が、U⊆M であるC(U)の貼り合わせで定義できることが重要。
UごとのC(U)の話は局所理論、球塊複体の貼り合わせ構造を問題にすると大域理論。
局所理論のなかで局所関係というのが出てきて、基本関係を記述する基本対(base/primitive/atomic pair)から生成される同値関係が局所関係。C(U)をU上の局所関係で割った商集合をある種の(コ)ホモロジーと解釈するらしい。
実例としては2次元で、C(U) = {|開円板U内の1次元部分多様体} で局所関係は、(1)アイソトピー (2)自明な円周の削除 (3)sチャネル/tチャネル切り替え(縦二本棒と横二本棒の交換) による局所関係がある。局所関係は、円板の境界を固定して考える。よって、Uの境界をSとして、C(U)→C(S) と制限して、制限した値(円周上の部分多様体=点群)は常に一定。
Cも関手だが、C自体よりはAというベクトル空間の圏に値をとる関手がむしろ主役。A(U)は、C(U)から自由生成したベクトル空間に、C(U)のローカル関係を線形に拡張して割り算をする。α〜β がローカル同値関係なら、α - β はゼロベクトルになる。定義より、C(U)/〜 は、A(U)に埋め込めて、ベクトル空間の生成系になっている。
場の区間圏構成
多様体の圏Manのisoだけを取り出した亜群をIsoManとして、次元によるグレイディングと境界作用素∂の構造を考える。Φ:IsoMan→Cが関手として、δ::Φ⇒(∂*Φ):IsoMan→C in CAT という自然変換があるとき、Φとδの組を場と呼ぶ。
Cは具象圏として、Φ(X)は台集合と要素を持つとする。Φ(X)の要素は、X上の状態、配置、配位、分布、物質、構造、(バンドルの)切断、関数などと呼ばれるが何でもよい。
Xを空間として、δX:Φ(X)→Φ(∂X) は場の条件(公理)から決まっている。c∈Φ(∂X) として、δ-1(c)はΦ(X)の部分集合になるので、それをΦ(X|c) と書く。cは境界条件と呼び、境界条件c付きの場の集合がΦ(X|c)。境界∂Xが直和成分の和になっているとき、境界条件は各成分ごとに与えればいい、そのときは、Φ(X|c1 on Y1, c2 on Y2)のように書く。このとき、∂X = Y1 + Y2 だ。
Φと空間Sから圏CΦ(S)を構成できる。C := CΦ(S) と略記すると:
- |C| := Φ(S)
- a, b∈Φ(S) に対して、C(a, b) := Φ(S×I| a on S0, b on S1)
- C(a, b)とC(b, c)との結合は、S×IとS×Iを繋ぐことにより、連結した(貼り合わせ)f;g∈Φ(S×I|a, c)を作る。
- 恒等射idaはa×Iとして作る。I上には自明な構造があるとする。
この構成を実行するには、Φや多様体の圏にそれなりの前提が必要になる。
関手Φを決めると、空間Xに区間圏CΦ(X)を対応させることができるので、CΦ(-) は、Man→Cat となる。さらに、Φ|→CΦは、場に圏値関手を対応させるから、[Man, Set]→[Man, Cat] という関手になる。