このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

微分計算

日本語 英語短縮形 もっと短く
なめらかな関数 SmthFun C, Ω1
ベクトル場 VectFld Ξ
微分作用素 DiffOpr Ξ
微分形式 DiffFrm Ω1

微分の基本公式

  • d(f\circx) = Σ(Di[f]・dxi) = Σ(f;i・dxi)

ここで、xは座標写像で、xiは座標成分関数。ナカグロは、微分形式と関数の掛け算。

微分(あるいは全微分)の基本公式を満たすような d:CM(U)→A(U) を備えたC加群層のなかで普遍的なもの(終・始対象)。マリオスの言葉を使えば、(CM(U), d, A(U) | U∈Open(M))は微分三つ組の層をなす。普遍的な微分三つ組により、余接ベクトル層=余接加群層が定義される。

φ:M⊇U→Rn がチャートのとき、φ*:C(A)→C(U) を関数の引き戻しとする。φ はチャートの反転とすると、(φ)*が定義できて、

  • )* = (φ*)-1

φをφ-1と書いてしまえば、

  • -1)* = (φ*)-1

φ-1* という書き方をする。この書き方で、X∈DiffOpr(A) のとき、Xφ∈DiffOprM(U) を次のように定義する。

  • Xφ := φ*\circX\circφ-1*

こう定義すると、次の変換公式が成立する。

  • Xφ[f] = φ*(X[φ-1*(f)])

これが、Diと(Di)φ の同一視の原理になる。

微分の基本公式の拡張として、

  • d(f\circx) = (J[f]\circx)・Δx

Δx は、dxi縦に並べたタプルで、余接加群層=余接ベクトル層のフレームになる。Δxの双対フレームを∇xと書き、接加群層=接ベクトル層のフレームとなる。定義から、チャートxに対して、Δxと∇xは双対フレームになる。

  • x・Δx = δ

任意のチャートxに対して、偏微分作用素Dix、ナブラ∇x、余ナブラΔxが定義できて、しかるべき双対性公式を満たす。

用語:

多様体上の微分作用素加群=ベクトル場加群が局所的に有限生成自由加群で、そのフレームを座標(チャート)xのナブラが与える。ナブラは加群のフレーム。微分作用素加群の双対加群における、ナブラの双対フレームがコナブラ(余ナブラ)で、これは座標関数の微分の縦列で与えられる。

微分作用素加群の双対加群とは、1次の微分形式加群。コナブラは微分形式加群のフレーム。

座標変換写像〈transition map〉のヤコビ行列は次の目的で使われる。

  • xのナブラとyのナブラの相互変換
  • xのコナブラとyのコナブラの相互変換
  • xによる接ベクトル場の成分表示(縦)からyによる接ベクトル場の成分表示(縦)の相互変換
  • xによる微分形式の成分表示(横)からyによる微分形式の成分表示(横)の相互変換
  • ベクトルとコベクトルのあいだのペアリング2次形式(複線形関数)の成分表示

微分作用素の列=フレーム (Xi)に対して、関数列fiが次を満たすとき、プレ双対関数列と呼ぶ。

  • Xi[fj] = δji

三つ組ラベリング〈triad labeling〉は、同じラベル集合により、

  1. 微分作用素のフレーム
  2. 微分作用素のフレームにプレ双対な関数列
  3. 微分形式の双対フレーム

に対して名前付けすること。sが単純ラベルのとき

  1. Ds
  2. s
  3. ds

または、xが語幹、αがインデックスのとき、(xα, xαがラベル)

  1. Dxα
  2. xα
  3. dxα

これが標準ネーミングコンベンション。

上記の微分作用素/射影関数/微分形式の構文と解釈の可能性は:

単純ラベル 上付き添字ラベル 下付き添字ラベル
変数解釈 1 2 3
関数解釈 4 5 6