modular, module, moduli, modulus, modulo
見た目(綴り)が似てるので、それだけけで勘違いしやすい。
とりあえずモジュラー群とは“SL(2, Z)の半分折り”だと思っていいんだろう。
モジュラー群PSL(2, Z)は、リーマン球面(複素射影直線)、ガウス上半平面(複素半直線)に、1次分数変換として作用する。ガウス上半平面に作用する形のSL(2, Z)を楕円モジュラー群と呼ぶそうだ。これは、群の種別というより、SL(2, Z)の表現のひとつのことだな。整数を複素数にしたメビウス変換という言葉もある。
SL(2, Z)作用に対して不変/同変な関数とかを考えることができるので、モジュラー関数/モジュラー形式なる概念が現れる
それに関連した複素曲線(実次元は2)もある。
↑の説明で、モジュラー曲線を定義する「合同部分群Γとは、整数の2×2の行列群SL(2, Z)のある部分群のこと」とある。この合同は整数の合同関係に起因する言葉。図形の合同とは違う。
表現論で、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/65/1/65_0651001/_pdf によると、「モジュラー体に係数を持つ表現」がモジュラー表現らしい。モジュラー体という言葉はあまり使われないが、どうも有限体のことらしい。これは、SL(2, Z)とは関係なくなっている。「離散的な代数構造』程度の関連性しかない。
で、話はだいぶ変わってテンソル圏論。単なるモノイド圏ではなくて、色々と細かい条件が付いたテンソル圏を定義して、モジュラー圏(モジュラー・テンソル圏)が現れる。これは幾分かSL(2, Z)と関係してているので「モジュラー」と呼んでいるらしい。
- nLab: https://ncatlab.org/nlab/show/modular+tensor+category
- pantodon: http://pantodon.shinshu-u.ac.jp/topology/literature/modular_tensor_category.html
- 28pの解説: http://www.math.ru.nl/~mueger/PDF/oxford.pdf
圏の単純対象(の同型類)が有限個しかなくて、それをUiとすると、si,jという“モジュラリティ作用素”がSL(2, Z)の“表現”の形をしているらしい。
で、モジュラー圏を対象とする圏の圏ができるわけで、その圏の圏の射がモジュラー関手。
ここからややこしいことがあって、モジュラー圏の分析の道具がモジュール圏、あるいは圏モジュール、またはモノイド作用を持つ圏。これはモジュールの圏とも関係する。次の言葉を区別しないといけない。
- modular category (モジュラーな圏、テンソル圏の一種)
- module category (モジュール圏、テンソル圏がモノイド作用する圏)
- category of modules (適当な代数上の加群の圏)
日本語だとmoduleを加群と呼ぶのでまだマシかもしれない。が、加群圏と加群の圏が(関係するけど)別物だからややこしい。他でも、半環の圏と半環圏とか別物だから、しょうがないのか。
加群圏=モジュール圏は、モノイド圏の関手圏としての表現のことになる。
あと、ファイバー関手という、これまたテキトーなネーミングがあったが、なんだっけ?
表現=加群の圏から、作用を忘れて表現空間(表現対象)だけにする忘却関手がファイバー関手だった。語源は確か、被覆空間のファイバーだけ見ると、ファイバーに作用する離散群を忘れることになるからだったか。
なんかの代数構造Aの対して、そのC-表現(=加群)の圏Rep(A)があると、Rep(A)→C という忘却関手を一緒に考えると、Aが再現できる、っていうシナリオが淡中再構成だろう。
モジュラー圏は、なんかの表現の圏として現れるから、忘却関手としてのファイバー関手も持つわけで、モジュラー圏、モジュラー関手、ファイバー関手は一緒に出てくると思う。
モジュライも発音が似ていて紛らわしい。が、モジュライが出てくる文脈はモジュライ空間で、なんらかの図形の全体を再び空間とみたもの。
モジュライはモジュラスの複数形で、モジュラスが語源に関わっているのだろう。
[追記]剰余とか法もモジュロ(modulo)だった。同語源だろう。
[/追記]