このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

ヘンキンとか飽和法とか、誤解混乱していたわ

僕のナントナクの理解(いや、理解してないんだけど)では、文の極大無矛盾集合とは、極大フィルターと同等なものであって、極大無矛盾集合を作ってコンパクト性が示せる、と。そして、構成的に極大無矛盾集合を作る方法を飽和法といい、ヘンキンが創始者なんだろう、と。(参考→極大と無矛盾は冗長表現ではなかった - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編

しかーし、上の記述はほとんど間違いのようだ。先のエントリーの"Model Theory"を眺めると、確かに、「飽和」という概念はモデル論にあるようだが、極大無矛盾とは直接の関係はないようだ。注意すべきはモデル論的無矛盾(consistent)とは、文の集合がモデルを持つことを意味するに過ぎないこと。

で、ヘンキンだが、彼は1949年にコンパクト性定理を証明しているのは確からしい。ただし、可算ケースでは1929にゲーデル、非可算は1936にマルセフ(Malcev)が示しているので最初の証明ではない。

ヘンキンの方法はtransfinite inductionを用いる。そのときに、ヘンキン文とかヘンキン定数が出てくる。たぶん、transfinite inductionによる構成をヘンキン構成、できたモデルはヘンキン・モデルと呼んでいいだろう。ヘンキンの功績は、既存モデルから出発してどんどんモデルを精密化していく具体的方法を考えたことかな。

ウルトラフィルターを使ったコンパクト性定理の証明を見るが、これは誰が始めたのだろう?

コンパクト性定理は、ある種のモジュライ空間の存在とそのコンパクト性を示しているから、やっぱり幾何学的だよな。