このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

Globular探り 4:色々な概念

1次元以上のキャンバスは、[0, 1]n になる。通常のユークリッド空間内の単位矩形だと思ってよい。このキャンバスはn個の軸を持ち、主方向を持つ。

キャンバス次元 主方向
0 なし なし
1 x x方向
2 x,y y方向
3 x,y,z z方向
4 x,y,z,w w方向
n x1,...,xn xn方向

キャンバス内には図(diagram)が描かれる。原則として、キャンバス次元図の次元は同じとする。ただし、図の“描画次元が大きなセル”を消去(無色化、背景化)することがある。このときは、キャンバス次元と図の次元に差(余次元)ができる。余分な次元が背景、容器と図形の次元差=余次元。

セルという言葉は、本来は基本胞体のことだろうが、胞体的複体=図=ダイアグラムもセルということがある。「セル」は曖昧。n-セル=n-射 という使い方。よって、アトム(アトミック・ダイアグラム)とコンポジット(コンポジット・ダイアグラム)がいいと思う。

コンポジットには、サブジェクト・セルサブジェクト・アトム)があり、サブジェクトは最高次元(描画次元は最小=0)のセル(アトム)で、コンポジット全体を代表する。

Globularの定理とは、コンポジットに展開可能なアトムのこと。展開操作自体が、(n+1)-コンポジットとなっていて、そのコンポジットがパレット(帳簿、管理台帳)に記録されている。定理の適用が、アトムの展開操作。定理の認識がコンポジットの縮約操作になる。

射影とスライス(断面)

キャンバス(もちろん、内部に図を含む)の射影の基本は1次元下げる操作。まず、描画次元が最高(登録次元が最低=0)のセルを消去(無色化、背景化)する。描画余次元が1(描画次元が(n - 1)=登録次元が1)の超曲面セル(1セル)は、すべてを射影することは出来ないので、射影先面に一番近い超曲面セルだけが像に入る。その他の超曲面セルは隠れる。

描画余次元が2以上(描画次元が(n-2)以下=登録次元が2以上)のセルは、重なりを許せば全て射映像として描ける。重なり部分に交差符号(上か下か)を付与すると、幾何的情報は失われない。まとめると:

  • 描画次元=n、登録次元=0 のセルは完全に失われる。
  • 描画次元=(n - 1)、登録次元=1 のセルはかなり失われる。
  • 描画次元=(n - 2)以下、登録次元=2以上 のセルは保存される。

キャンバスには、その図の複雑度に応じてモースレベル(Morse level)が設定される。これは、図のモース関数の値を正規化したもので、0からkまでの値となる。モースレベルの実際の関数値(実数値)は不要。0はソース面(主方向のソース側境界セル)でkはターゲット面(主方向のターゲット側境界セル)

モースレベルごとにスライス=超平面切断が可能で、スライスを、1次元下がったキャンバス+図として扱うことが出来る。

モースレベルを順次変動させることは、主方向を時間方向だとみなしてのムービーアニメーション)となる。隣り合うモースレベルはトランジションまたはフリッカーを定義する。

チェーン記法

  • f:A→B
  • α::f⇒g:A→B
  • Γ:::α≡>β::f⇒g:A→B

次元を数値で示して:

  • f:1 A 1→B
  • α:2 f 2→g :1 A 1→B
  • Γ:3 α 3→β:2 f 2→g:1 A 1→B

もっと簡単に、

  • Γ:3 α→β:2 f→g:1 A→B

かな。一般に、

  • Γ:n α→β:n-1 f→g ... :1 A→B

次元番号をデクリメントして、最後の1次元矢印を削除することを切り落とし(truncation)と呼ぶ。切り落としは射影に相当する。

操作

  • 展開と縮約(定理の適用と認識)
  • 交替変形(交替律の適用、高さの順序を変更)
  • 生成、0次元以外はソースとターゲットから作る。
  • 格上げ(bump up)恒等射として次元を上げる。
  • 主結合、主方向への結合
  • ヒゲ結合、次元が違うダイアグラムの結合

グラフとパーティショニング

0-セルと1-セルからなるコンポジットがグラフだが、それをn-キャンバスにストリング図として描くと、n次元キューブを(n-1)次元の超曲面(区分的線形な面でもよい)による分割となる。

「グラフ←→パーティショニング」の双対性はポアンカレ双対だが、一般的なグラフを考えて、キャンバス次元が低いときは簡単ではない。いや、すごく難しい。

参考

  • Title: On the Combinatorics of Carter-Rieger-Saito Movies in the Theory of Smoothly Knotted Surfaces in R4 (November 13, 2004)
  • Authors: Glenn Lancaster, Richard Larson, Jacob Towber
  • URL: http://tigger.uic.edu/~rgl/shrtknots.pdf
  • 33ページ 短縮版

これで、基本イベント(基本記号)、スチル、トランジションフリッカー、ムービーなどの定義を確認するとよいだろう。