モナドの圏が17種類
モナドの圏を σMndγ(K) の形で書く。σは圏のソート、γは圏の修飾子とする。
まず、修飾子は形容詞を組み合わせて作る。
形容詞記号 | 意味 |
---|---|
L | 左 |
R | 右 |
Alg | 1-射が代数的 |
EM | アイレンベルク/ムーア、1射が右斜め加群 |
Kl | クライスリ、1射が左斜め加群 |
S | 単純、2-射が単純変換 |
単純変換とは限らない一般の変換=2-射は、バイデント変換と呼ぶ。→ 弱2-圏内のモナドに関する補足:モナドが作る2-圏の多様性 - 檜山正幸のキマイラ飼育記
モナド概念を固定しても、「モナドのあいだの準同型」「モナドのあいだの準同型のあいだの準同型」という概念は一意的には決まらないようです。適用分野や目的ごとに選ぶことになるのでしょう。
ソートは、
ソート記号 | 意味 |
---|---|
0 | 0-圏 |
1 | 1-圏 |
s2 | 厳密2-圏 |
ind | インデックス付き圏 |
coind | 余インデックス付き圏 |
17種の一覧は次のようになる。
ソート | 修飾子 |
---|---|
0 | |
1 | LAlg, RAlg, AlgKl, AlgEM, Kl, EM |
s2 | AlgKl, AlgEM, SKl, SEM, SAlgKl, SAlgSE, Kl, EM |
ind | L |
coind | R |
構成の道具として、1AdjL, 1AdjR が出てくる。
- indMndL in ind-Cat[1AdjL]
- coindMndR in coind-Cat[1AdjR]
また、1-射が左可随伴〈left-adjointable〉、右可随伴〈rightt-adjointable〉も重要な概念になる。より強く、標準的一意的に随伴の相方〈partner〉が決まっているとき、左随伴付き〈with left adjoint〉、右随伴付き〈with right adjoint〉と言う。
- モナドのあいだのクライスリ準同型(左斜め加群)が、代数的とは、準同型の台1-射が右随伴付きなことである。
- モナドのあいだのアイレンベルク/ムーア準同型(右斜め加群)が、代数的とは、準同型の台1-射が右随伴付きなことである。
明らかに、1MndAlgKl ⊆ 1MndKl, 1MndAlgEM ⊆ 1MndEM 。また、
- 1MndAlgKl iso 1MndAlgEM
同型関手はメイト対応(メイト転置とメイト反転置)によって与えられる。
一方、indMnd(K)[-]:1AdjL(K)op→Cat は、随伴系を左関手の向きとした圏の上のインデックス付き圏である。このインデックス付き圏のグロタンディーク平坦化が 1MndLAlg(K)。
- 1MndLAlg(K) := Flatten(indMnd(K)[-])
次の圏同型がある。
- 1MndLAlg(K) iso 1MndAlgKl(K)
coindMnd(K)[-] に関しても同様な同型がある。
[追記]"クリメン/ソリヴェレス 2010"(https://www.uv.es/~solivere/Articles/Kleisli%20and%20Eilenberg-Moore%20constructions%20as%20parts%20of%20biadjoint%20situations.pdf)での Mndalg は、monads, algebraic morphisms, and algebraic transformations の2-圏。2-圏としても定義できるが、2-射は除いて、1-圏として定義する。
インデックス付き圏、余インデックス付き圏のレベルでは、普通は2-射を考えないので、代数的準同型〈algebraic homomorphism〉は1-圏で考えれば十分だと思う。[/追記]