このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

モナドの圏が17種類

モナドの圏を σMndγ(K) の形で書く。σは圏のソート、γは圏の修飾子とする。

まず、修飾子は形容詞を組み合わせて作る。

形容詞記号 意味
L
R
Alg 1-射が代数的
EM アイレンベルク/ムーア、1射が右斜め加群
Kl クライスリ、1射が左斜め加群
S 単純、2-射が単純変換

単純変換とは限らない一般の変換=2-射は、バイデント変換と呼ぶ。→ 弱2-圏内のモナドに関する補足:モナドが作る2-圏の多様性 - 檜山正幸のキマイラ飼育記

モナド概念を固定しても、「モナドのあいだの準同型」「モナドのあいだの準同型のあいだの準同型」という概念は一意的には決まらないようです。適用分野や目的ごとに選ぶことになるのでしょう。

ソートは、

ソート記号 意味
0 0-圏
1 1-圏
s2 厳密2-圏
ind インデックス付き圏
coind 余インデックス付き圏

17種の一覧は次のようになる。

ソート 修飾子
0
1 LAlg, RAlg, AlgKl, AlgEM, Kl, EM
s2 AlgKl, AlgEM, SKl, SEM, SAlgKl, SAlgSE, Kl, EM
ind L
coind R

構成の道具として、1AdjL, 1AdjR が出てくる。

  • indMndL in ind-Cat[1AdjL]
  • coindMndR in coind-Cat[1AdjR]

また、1-射が左可随伴〈left-adjointable〉、右可随伴〈rightt-adjointable〉も重要な概念になる。より強く、標準的一意的に随伴の相方〈partner〉が決まっているとき、左随伴付き〈with left adjoint〉、右随伴付き〈with right adjoint〉と言う。

  • モナドのあいだのクライスリ準同型(左斜め加群)が、代数的とは、準同型の台1-射が右随伴付きなことである。
  • モナドのあいだのアイレンベルク/ムーア準同型(右斜め加群)が、代数的とは、準同型の台1-射が右随伴付きなことである。

明らかに、1MndAlgKl1MndKl, 1MndAlgEM1MndEM 。また、

  • 1MndAlgKl \stackrel{\sim}{=}iso 1MndAlgEM

同型関手はメイト対応(メイト転置とメイト反転置)によって与えられる。

一方、indMnd(K)[-]:1AdjL(K)opCat は、随伴系を左関手の向きとした圏の上のインデックス付き圏である。このインデックス付き圏のグロタンディーク平坦化が 1MndLAlg(K)。

  • 1MndLAlg(K) := Flatten(indMnd(K)[-])

次の圏同型がある。

  • 1MndLAlg(K) \stackrel{\sim}{=}iso 1MndAlgKl(K)

coindMnd(K)[-] に関しても同様な同型がある。

[追記]"クリメン/ソリヴェレス 2010"(https://www.uv.es/~solivere/Articles/Kleisli%20and%20Eilenberg-Moore%20constructions%20as%20parts%20of%20biadjoint%20situations.pdf)での Mndalg は、monads, algebraic morphisms, and algebraic transformations の2-圏。2-圏としても定義できるが、2-射は除いて、1-圏として定義する。

インデックス付き圏、余インデックス付き圏のレベルでは、普通は2-射を考えないので、代数的準同型〈algebraic homomorphism〉は1-圏で考えれば十分だと思う。[/追記]