このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

標準誤差の記法がまた酷い

もう度し難いレベルだな。

標本の標準誤差:
 s_{\bar{x}} = \frac{s}{\sqrt{n}}

相当に意味不明、ほぼ以心伝心の世界。右辺から見ると、sは、s(x) = sd(x) という関数記号だと思う。xの長さがnだから、次の定義式だと思える。
 f(x) \,:= \frac{sd(x)}{\sqrt{length(x)}}

左辺の記号は分解して理解しようとしても無理なので、次のように考える。
 (s_{\bar{x}})(x) \,:= \frac{sd(x)}{\sqrt{length(x)}}

n標本値の空間(n次元ユークリッド空間)上の関数を定義しただけ、と考える。

もっと酷いのは、
 \sigma_{\bar{x}} = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

右辺のσは定数と思うしか無い。nがどこから来たかは不明。次のように考えるしかないだろう。
 \sigma_{\bar{x}}^{(n)} \,:= \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

右辺は、正定数nに依存する定数で、その定義を右辺で与える。通常は、パラメータである正整数を省略する。

次に、
 \hat{\sigma}_{\bar{x}} = \frac{s}{\sqrt{n - 1}}

これは、n標本値に対する関数の定義(と、かんがえるしか無い)
 (\hat{\sigma}_{\bar{x}})(x) \,:= \frac{sd(x)}{\sqrt{length(x) - 1}}

  •  (s_{\bar{x}}) は標本値空間上の関数で、統計値(推定値)関数:標本標準誤差
  •  \sigma_{\bar{x}} はσとnから定義された定数:母標準誤差
  •  \hat{\sigma}_{\bar{x}} は、標本値に対する関数で、σとnを使って定義されたパラメータ \sigma_{\bar{x}} の推定値関数: 不偏標準誤差

一般に、Tをなんらかの概念・用語として:

  • 標本T -- 標本値の空間Rn上の関数、標本値から計算できる。標本サイズnに依存する。
  • 母T -- モデルのパラメータから計算される定数、したがってモデルそのものから計算出来る。
  • 不偏T -- 母Tを推定するための標本値の空間Rn上の関数、その意味では標本Tと同じだが、変量(確率変数)としての期待値が定数である母Tに等しい。

平均値関数に名前を与えなかった(演算子記号だけ)ため、x-全体がmeanの意味になってしまった。xはラムダ変数と解釈できないことがある。標本標準誤差の記法、母標準誤差の記法はもはや苦し紛れ。次の慣習を無理に守ろうとしただけ。

  • 標本関係はローマ字、パラメータはギリシャ文字
  • 標準偏差はsとσ
  • 標本平均に関係する。(下付きxバーの由来)
  • パラメータの不偏な推定値/推定量にはハットを付ける。

一番奇妙な母標準誤差  \sigma_{\bar{x}} を納得(つうより許容)できれば後はナントカなるだろう。単なる定数だがnに依存して変わる。nは明示されない

等式の意味がほんとに分かりにくい。