面積問題への対策(あるいは無策) (A21)
昨日、Lambda基本リーズニング(「含意導入規則」と呼ばれることが多い)に関して、ワイヤーベンディング描画法を説明しました。描画法を考えた当事者の意図・目的を理解しないと、「変な絵」「ワケワカメな図」になってしまいます。
描画法/記号法/表記法を考えた当事者の意図・目的で、けっこう多いのが「面積問題への対策」です。面積とは、紙面・画面の広さのことだと思ってください。グラフィカルなフル・リーズニング図は、とてもとても面積を消費するので、そのままでは描けません。そこで、より少ない面積で描ける描画法/記号法/表記法が開発されたのです。
紙のページの場合、巨大な絵の印刷は物理的に無理で、縮小すると読めなくなります。コンピュータ画面なら、スクロールやズーミング、折りたたみ/展開などにより事情は改善します。さらにアニメーションがあれば、劇的な効果があるはずです。
が、実情はツールが整備されてません。
フレーゲ(『概念記法』が1879年)に始まり、ゲンツェンのイノベーションを経た現在の論理は、よく整備されたきれいな体系になっています。にもかかわらず、適切な伝達手段(メディアとツール)がありません。貧弱な伝達手段とお粗末な手法により伝達される結果として、グチャグチャで汚い体系として受け止められる可能性があります。音響カプラを経由してYouTube動画を観ると、たぶん酷い映像になるでしょう。それと同じです(って、同じじゃない)。
悲しいかな、効果的な対策はなく、現時点で出来ることは、伝達する側も受け取る側も“根性を出す”ことだけです。手間を厭わず、広い面積の絵を何枚も提示する、自分で描いてみることです。
檜山は根性を出したくないし、根性に自信もないので、極端な面積節約は控えても、やはり手間は節約したい。
- 「アニメーションとしての証明」で言う「パラパラ漫画」方式、「紙芝居」方式で書く。
- 絵が少なめな「紙芝居」になるかも知れないが、「小説」方式(テキストのみ)にならないようには気をつける。
- 絵は、ノートに乱雑に手描きしたものをスキャンして使う。汚いけどカンベンしてね。
お約束
推論図を「全部乗せ」で描くときは、
推論図の名前またはテキストによる式 : プロファイル (プロファイルはシーケント形式で書く) ここにグラフィカルな推論図 (スパイダー=ノード・ワイヤー図)
これは「全部乗せ」なので、名前、テキスト式、プロファイルは省略されるかも知れません。また、本体である推論図が省略されることもあります。要するに、どれも省略される可能性を持ちます。
多くの人は、一番面積をとる推論図本体を省略したがります。檜山は、他を省略しても出来るだけ本体は省略したくないと思っています。(あくまで「出来るだけ」ね。)
横棒記法に関しては:
- 原則として、推論の横棒は一本棒('---')、リーズニングの横棒は二本棒('===')。
- 両方一度に使わないときは、リーズニングでも一本棒('---')を使うときがある。
- 推論/リーズニングを表すラベルは、横棒の右側。ラベルも出来るだけ省略しない。(あくまで「出来るだけ」ね。)
手描きのときに一番多く使いそうな描画法は、
- 推論図はグラフィカルに(スパイダー=ノード・ワイヤー図)として描く。
- リーズニングは横棒記法(一本棒または二本棒)として書く。
例えば(ほんとに汚えー):
プロファイルだけ抜き出して書けば:
B, A → A, B C → C ======================= Prod B, A, C → A, B, C A, B, C → D ============================================ Comp B, A, C → D ================= Lamb A, C → B⇒D