このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

面積問題への対策(あるいは無策) (A21)

昨日、Lambda基本リーズニング(「含意導入規則」と呼ばれることが多い)に関して、ワイヤーベンディング描画法を説明しました。描画法を考えた当事者の意図・目的を理解しないと、「変な絵」「ワケワカメな図」になってしまいます。

描画法/記号法/表記法を考えた当事者の意図・目的で、けっこう多いのが「面積問題への対策」です。面積とは、紙面・画面の広さのことだと思ってください。グラフィカルなフル・リーズニング図は、とてもとても面積を消費するので、そのままでは描けません。そこで、より少ない面積で描ける描画法/記号法/表記法が開発されたのです。

紙のページの場合、巨大な絵の印刷は物理的に無理で、縮小すると読めなくなります。コンピュータ画面なら、スクロールやズーミング、折りたたみ/展開などにより事情は改善します。さらにアニメーションがあれば、劇的な効果があるはずです。

が、実情はツールが整備されてません。

フレーゲ(『概念記法』が1879年)に始まり、ゲンツェンのイノベーションを経た現在の論理は、よく整備されたきれいな体系になっています。にもかかわらず、適切な伝達手段(メディアとツール)がありません。貧弱な伝達手段とお粗末な手法により伝達される結果として、グチャグチャで汚い体系として受け止められる可能性があります。音響カプラを経由してYouTube動画を観ると、たぶん酷い映像になるでしょう。それと同じです(って、同じじゃない)。

悲しいかな、効果的な対策はなく、現時点で出来ることは、伝達する側も受け取る側も“根性を出す”ことだけです。手間を厭わず、広い面積の絵を何枚も提示する、自分で描いてみることです。

檜山は根性を出したくないし、根性に自信もないので、極端な面積節約は控えても、やはり手間は節約したい。

  • アニメーションとしての証明」で言う「パラパラ漫画」方式、「紙芝居」方式で書く。
  • 絵が少なめな「紙芝居」になるかも知れないが、「小説」方式(テキストのみ)にならないようには気をつける。
  • 絵は、ノートに乱雑に手描きしたものをスキャンして使う。汚いけどカンベンしてね。

お約束

推論図を「全部乗せ」で描くときは、

推論図の名前またはテキストによる式 : プロファイル
(プロファイルはシーケント形式で書く)

  ここにグラフィカルな推論図
  (スパイダー=ノード・ワイヤー図)

これは「全部乗せ」なので、名前、テキスト式、プロファイルは省略されるかも知れません。また、本体である推論図が省略されることもあります。要するに、どれも省略される可能性を持ちます

多くの人は、一番面積をとる推論図本体を省略したがります。檜山は、他を省略しても出来るだけ本体は省略したくないと思っています。(あくまで「出来るだけ」ね。)

横棒記法に関しては:

  • 原則として、推論の横棒は一本棒('---')、リーズニングの横棒は二本棒('===')。
  • 両方一度に使わないときは、リーズニングでも一本棒('---')を使うときがある。
  • 推論/リーズニングを表すラベルは、横棒の右側。ラベルも出来るだけ省略しない。(あくまで「出来るだけ」ね。)

手描きのときに一番多く使いそうな描画法は、

  • 推論図はグラフィカルに(スパイダー=ノード・ワイヤー図)として描く。
  • リーズニングは横棒記法(一本棒または二本棒)として書く。

例えば(ほんとに汚えー):

プロファイルだけ抜き出して書けば:

  B, A → A, B   C → C
 ======================= Prod
  B, A, C → A, B, C           A, B, C → D
 ============================================ Comp
      B, A, C → D
    ================= Lamb
      A, C → B⇒D