このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

フュージョン圏上の加群圏と、分離的多元環上の加群の圏と、水増し左作用

モジュラー圏とか - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編で引用した http://arxiv.org/pdf/1201.6593v2.pdf の"3.4 Module categories and categories of modules"によると、

Thus (indecomposable, semisimple) module categories over a fusion category C and categories of modules for a separable algebra in C are essentially the same thing.

フュージョン圏に関して言えば、圏C内の分離的多元環(分離的モノイド対象)上の加群の圏と、C上の加群圏は同じ、だという。なんか、にわかには信じがたいが、そういうことらしい。

で、加群の圏からC上の加群圏を作る方法だが、これがバカバカしいというか自明というか、やたらに単純な方法。

AをC内の多元環(モノイドと同義)だとして、M = (M, μ) をA上の加群とする。Cの勝手な対象Xと右加群Mに対して、新しい右加群 X\odotM を次のように定義する。

  • 加群の台対象は、X\otimesM とする。a
  • 加群の右作用 (X\otimesM)\otimesA → X\otimesM は、idX\otimesμ
  • 要するに、X\otimes(-) という関手を、右加群に対して自明に拡張。

加群の係数多元環は、左に足したX側にはまったく作用しないので、これは与えられた右加群MをXの分だけ水増ししているに過ぎない。右加群を、左側からそっと水増ししている。本質的には変わらない。

フュージョン圏上の加群圏は、水増しする操作しか許されないような堅い構造を持つことになる。加群圏が与えられると、それは加群の圏だと思えて、加群の圏の係数多元環を取り出せる、とするなら、これは一種の淡中再構成のような気もする。