「実行」概念、ランとパスを区別する
ラベル付き遷移系のラベルをコマンド/命令/アクションなどと解釈する。ラベル集合をLとして、実行系はLを辺ラベルとするグラフで表現される。一方で、プログラムコード(構文的存在物)もLを辺ラベルとするグラフで表現される。
実行系のグラフ | プログラムのグラフ | |
---|---|---|
頂点 | 状態点 | 時点 |
有向辺 | 状態遷移ステップ | 時間進展ステップ |
入り口頂点 | 初期状態 | 開始時点 |
出口頂点 | 終了状態 | 終了時点 |
ラベル | 遷移を引き起こすアクション | 実行したいアクション |
「時間進展ステップ」は、time evolution, time progressionのatomic step。
実行は、「プログラムのグラフ→実行系のグラフ」というグラフ写像で、入り口・出口とラベリングの構造を保つもの。これをランと呼ぶことにする。
グラフ理論におけるパスは有向鎖グラフ(有向竹グラフ)からのグラフ写像で、ランとは異なる。入り口・出口とラベリングの構造を付けたとしても、所詮鎖(竹)は鎖(竹)、線状の構造に過ぎない。
ランはパス以上の構造を持てる。なぜなら、ランのdomainであるプログラムグラフは、直和や直積を取れる。線状の構造を逸脱するが、それでいい。
非線状のランは難しいので、ランに付随するパスの集合を考えているのだろう。ここで、ランに付随するパスとは、「鎖グラフ→プログラムグラフ」というパスとランを写像として結合したもの。要するに、プログラムグラフ上のパスをランで前送りしたもの。
条件付きだが(いつでも出来るわけではないが)、codomainである実行系上のパスをランにより引き戻しもできる。直積の射影による前送りと、直和の入射による引き戻しは双対だろう。
複合システムを構成する部分システムという場合、直積複合の成分なのか、直和複合の成分なのかでは全然話が違う。直積複合システムの成分を観察することは、射影による前送り像を見ること。直和複合システムの成分を観察することは、入射による引き戻し像を見ること。
相互作用、干渉などの定式化は、ファイバー積と融合和だろう。それと通信もあるけど。