離散力学の古典極限と非古典力学
マスロフ代数上のDFDを考える。k > 0 だとして、k→+∞でmax古典極限になる。このとき、比喩的には次が成立する。
- 点光源から出た光は放射状に広がる。
- 放射状の各射線は“直線”である。
- 光線は二点間を直進する。
これは、変分原理(フェルマーの原理)で支配されるともいえる。
しかし、k = 1 の付近は非古典的で、光が直進するとも光が軌道を持つとも考えにくい。k→+0では、古典軌道概念がどんどん曖昧になる。フェルマーの原理も意味がなくなる。
面白いことに、kの値に関わらずホイヘンスの原理は成立する。ホイヘンスの原理は場の伝搬描像だから。kが無限でないときは、「ホイヘンス原理⇒フェルマー原理」という推論の根拠(最適経路=古典軌道が支配的)がなくなってしまうだけだ。
最適経路、最短経路、可達性などの問題も古典極限における設定といえる。波頭集合(波頭線、波頭面)、掃過域、未掃過域などの概念は非古典でも通用する。
典型例として、距離概念の定義が、古典、非古典で次のように違う。
- 最短経路(古典軌道)の長さ
- 空間を単純に伝搬する波頭が到着するまでの時間