記号法と意味論
まだまだ続く、伝統的・慣習的記法の解釈。
可測空間を固定して、その上の測度全体の空間を考える。測度の和とスカラー倍は考えられるので、測度全体の空間はベクトル空間にはなる。が、位相や収束は難しい。測度全体の空間の部分集合に適当な位相とその他の構造(アフィン構造が典型)を入れたものをAとしてアンビエント空間(分布の空間と考えてよい)と呼ぶ。
M⊆A をモデル空間(モデル多様体)とする。モデル空間M自体の性質は特に要求しないで、とりあえずアンビエント空間の部分集合とだけ規定される。
Θを有限次元ユークリッド空間の部分集合として、Mは位相も込めてΘと同型であるとき、パラメトリックモデル空間と呼ぶ。θ:M→Θ、f:Θ→M として、θ;f = idM、f;θ = idΘ。記号θは、M上の座標関数の意味と、単なる変数 θ:Θ の意味でオーバーロードされる。fも同様で、Mの要素の意味でも使う。また、f(θ) = fθ と書かれる。定義より、θ(fθ) = θ というワケワカラン等式が成立するが:
- θ(fθ) = θ の左辺外側のθは座標関数
- θ(fθ) = θ の左辺内側と右辺のθは集合Θを走る変数
- ラウンドトリップ性を表す。
- 同様に、fθ(f) = f
関数の結合(合成)と関数と値の適用は区別されないので、文脈で区別するしかない。また、一部の変数はラムダ変数の意味で使われる(f(x) := λx:X.f(x))がこれも明示されない。一部の変数は、恒等射や射影の意味で使われることもある。汎関数への引数はブラケットのことがある、例: E[φ(X)] 。