標本空間は「標本の空間」に非ず
「標本」て言葉は使わないほうがいいかもしれない。あまりにもconfusingだ。
確率空間の定義で、標本空間とか標本点(根本事象というときもある)が出て来るが、統計の標本(サンプル、サンプリング)とは別物。
関係あるとすれば、母集団Pを固定して、すべてのサンプルを考える。これはベキ集合Pow(P)となるだろう。Ω = Pow(P) とおいて、Ω上にσ代数と確率測度を与えて確率空間を作るならば、このときは確率空間の標本空間が、サンプルを点とする空間(集合)となる。
しかし、これは特殊事例で、母集団からのサンプル(ベキ集合の要素)を、いつでも点(標本点)と考えるわけじゃない。
混乱を避けるには、「確率空間の用語」「推測統計の用語」のどちらかで用語「標本」の使用をやめるしかない。推測統計の文脈で標本(サンプル、サンプリング)を使わないのはきびしいから、確率空間で「標本」の使用をやめればいい。代わりに台集合とか台空間と言えば済む。