このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

記号法で印象が変わる (半)線形射のコンウェイ・ダガー

アフィン線形圏の不動点理論はけっこう難しい。ので扱わない。線形(正確には半線形かな)圏の不動点理論に限定する。線形圏でもけっこう難しい。そもそも不動点の存在を保証するのが難しい。係数半環になんらかの条件が必要だ。ベキ等な連続半環とか、そんなの。→ http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20061107/1162888657http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20061026/1161847087

で、fは線形射(線形圏の射)とする。今まで、f:A×X→X と書いてきたが、パラメータ(制御変数)の空間はAじゃなくてTとするかな。f:T×X→X。Tだと時間みたいだ、って懸念もあるけど。

線形圏なので、f:T×X→X は、直和からの射 f:T+X→X と思ってよい。線形圏では直積と直和は一致して双積となるから。fは、a:X→X と b:T→X の余タプル [b, a] と書ける。つまり、f(t, x) = b(t) + a(x) 。線形圏では関数適用と掛け算は同じようなもんだから、一次形式 bt + ax が f(t, x) だと言ってもいい。

fの不動点を考えて、f(t) = μx.f(t, x) は Tr(f;Δ)。具体的に書くと、μx.(bt + ax) 。これ以上は絵を描かないと無理だが、次の絵の前半が参考になる。http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/20100701/1277947580 より。

f(t, x) = bt + ax のコンウェイ不動点が (bt);a* で与えられることが絵からわかる。固定されたtに対する bt = b(t) を改めてbと置けば、b;a* = a*b となり、素朴な級数計算の結果と一致する。

コンウェイ圏とは、トレース付きデカルト圏に他ならないが、さらに(半)線形性の条件を付けて線形コンウェイ圏ができる。これはコォゼン/クリーネ圏(Kozen-Kleene)と呼べるもんだろう。