半加法圏の再論
Ab豊饒から始まる加法圏の定義は嫌いだ:
- 半加法性、加法性が圏論的な概念であることが見えなくなる。
- 半加法構造、加法構造が本質的にひとつしか入らないという事実が見えなくなる。
- 加法を入れる楽しい議論がすべてすっ飛ばされる。
圏の有限極限/余極限を使うのがいいのだが、これはこれでup-to-isoの議論が鬱陶しい。
結局、スタートは等式的な定義だろう。等式的な定義は極限を使う定義とは異なる。
- 前もって、終対象や直積対象/射影などが一意的に選ばれている。
これにより、up-to-isoな議論はいらない。極限で定義される同型対象類のなかに1つだけ特定対象が入っていて、それを記号で指示・表現できる。極限で定義される性質のセクションとなるような演算が定義されている。
等式的な定義と極限による要請・制約の関係がわかったら、それが圏のモノイド構造と、「すべての対象上への本質的に一意なコモノイド構造」を許容(極限)または定義(等式的)することを見る。
つまり、デカルト圏、余デカルト圏、双デカルト圏=半加法圏の定義は次の3つのどれでも良い。
- 等式的な定義
- 極限による定義
- コモノイド構造を持つモノイド圏
半加法圏にネゲーションを入れると加法圏だが、このときは、すべての対象がホップモノイド構造を持つ対象モノイド圏と考えるのが一番良さそう。