このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

非対称モノイド圏のモノイド対象のコホモロジー

"Cohomology of Monoids in Monoidal Categories" という論文を見つけた。1997年なのでそれほど新しいわけではない。著者の一人は、Mamuka Jibladzeだが、http://ncatlab.org/nlab/show/Mamuka+Jibladze によるとグルジア共和国の人らしい。目を引く論文は:

citationsが少ない。あまり知られてない。あまり注目も評価もされてない。

だが僕にとっては、"Cohomology of Monoids in Monoidal Categories"は驚くべき事実が色々と書かれていて、面白いしとても役に立つ。

まず、僕のほうの状況として次があった。

  1. 森田理論では、双加群とか森田コンテキストが重要らしい。
  2. 双圏と双圏版の米田補題が気になる。
  3. オートマトン圏で双加群を考えたら予想とは違って、IOは説明できない(ガックリ)。
  4. だが、オートマトン圏での双加群は2次元オートマトンにはなるらしい。
  5. オートマトンの(コ)ホモロジーが取れないか?
  6. 前例を見てもぱっとしない。アーベル圏にならないのがマズイのでは?
  7. 非アーベル圏でのコホモロジーとしては、擬アーベル圏や半アーベル圏がある。
  8. 擬アーベル圏や半アーベル圏でもなんかうまくいかない(ガックリ)。
  9. それはそうと、オペラッドも面白そうだな。

と、こんなことを考えていた。

"Cohomology of Monoids in Monoidal Categories"では、かなり一般的なコホモロジーを具体的に構成する方法が書いてある。アーベル圏を使うし、原形は1969年のバー/ベック(Barr-Beck)のコトリプルコホモロジーというやり方。その意味ではあまり新しいことはないとも言えるが、オペラッドや小圏のコホモロジーなども統一的に説明できることと、係数圏という概念が素晴らしい。

目的の対象達の圏がアーベルでなくても、係数圏を使ってアーベル圏を作り、そのアーベル圏内で具体的にコホモロジーを作る方針。一般的な枠組みは対称とは限らない圏Cの内部モノイドの圏 Mon(C) を考えて、Mon(C) の対象Gごとに、Coef(C, G) という圏を考えて、係数圏の対称Aと取ってきて、組 (G, A) ごとに(余)鎖複体を作る。(余)鎖複体から先の扱いは古典的/計算的である。

例によって、僕の予備知識が足りない。次を理解する必要がある。

  1. 極限関係で、reflects, createsなど
  2. filtered (co)limit と finitary functor
  3. profunctor
  4. natural system (全然知らなかった)
  5. tow-sided bar construction
  6. cosimplicial abelian group
  7. torsor (胴体だけのトルソーは torso)