えっ!? 両側加群て線形圏だったの
CがK-線形圏だとして、RがK-多元環(代数)のとき、テンソル積R(×)Cが定義できる(前のエントリーに書いた)。もっと一般に、線形圏CとDのテンソル積が、|C|×|D|上に、
- (C(×)D)( (A, B), (A', B') ) = C(A, A')(×)D(B, B')
として定義できる。単一の多元環とのテンソル積はこのテンソル積の特殊ケースだ。
というわけで、多元環が対象を1つだけ持つK-線形圏であることは知っていた(圏の結合は多元環の掛け算)。それで、次に単純な線形圏として対象が2つの例を調べたら、これは両側加群だった。へーっ。当たり前だけど「ヘーッ」
R, SがK-多元環で、MがK-ベクトル空間。Rが左から、Sが右から作用してMは両側加群だとする。このとき、2つの元(なんでもいい){1, 2}に対して:
- End(1) = R
- Hom(1, 2) = M
- End(2) = S
- Hom(2, 1) = {0}
- End(1)×End(1) はRの掛け算
- End(1)×Hom(1, 2) は左からの作用
- Hom(1, 2)×End(2) は右からの作用
- End(2)×End(2) はSの掛け算
とすると、R, S, M からなる両側加群は{1, 2}上の線形圏になる。逆にCが{1, 2}上の線形圏だと
- R = C(1, 1)
- S = C(2, 2)
- M = C(1, 2)
として両側加群ができる。M = C(2, 1)としても両側加群ができるから、一意的に加群を決めるわけではないが、C(2, 1) = 0 (潰れている)とすれば、加群と線形圏は1:1に対応すると思ってよい。
規模の小さい(対象が少数の)線形圏は、線型代数の概念と対応が付くかもしれない。だからどうというわけでもないけど、なんか面白い。