マルコフ移動、変形、簡約
マルコフ移動は幾何学的変形だが、記号的簡約(縮約;reduction)と考えてもいい。Aがブレイドで、σが基本ブレイド、σ'はσの逆、idnを単にn、モノイド積は並置で表すと:
- (n σ m);A;(n σ' m) → A (n + 2 + m = dom(A) と仮定)
- (A 1);((n-1) σ) → A (n = dom(A) と仮定)
となる。上は σσ' = id という逆元の性質、下はヤンキング。逆元の性質は交差キャンセルとでも呼ぶといいだろう。
マルコフ簡約を項書き換え系とみなして、正規形(リデックスがない)の集合が結び目の集合(もちろん同値類)と同型だというのがマルコフの結果ということになる。
アルチンの結果と一緒にしてまとめると、アルチン関係式=ヤン/バクスター関係式とマルコフ簡約を持つような項書き換え系が結び目を記述することになる。ただし、アルチン関係からは正規系の概念は出ないので、アルチン同値な項は同一視することになるだろう。