このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

マスロフ半環と対数マスロフ半環

マスロフ和の定義:

  • a [+]h b = (ah + bh)1/h

これだと、hがオリジナルの定義の逆数になっている。つまり、もともとは、

  • (a1/h + b1/h)h

これらは h ←→ 1/h で移りあうからどっちでもいい。オリジナルでは、h = 0 で古典系にいくので、物理との対応がいい。しかし、h →+0 と h→-0を区別するから、h→+∞、h→-∞としたほうがいいような気もする。

僕の定義を採用するとして、次が成立する。

  • (x [+]h y)-1 = x-1 [+]-h y-1

これは、大小のスケールを反転したときに、hマスロフ和が(-h)マスロフ和に移ることを示している。この設定では、量の逆数写像とマスロフ/プランク定数の符号反転が対応している。

もうひとつ面白い事実。

  • x△hy = log(exp(x) [+]h exp(y))

と定義する。△hを対数マスロフ和と呼ぶことにする。(R, △h, +) は半環になる。対数h-マスロフ半環と呼ぼう。普通のh-マスロフ半環(P, [+]h, ・) と対数h-マスロフ半環は、exp, logで完全に移りあうので、代数系としては区別できない。が、max-plus代数(極地半環)やmin-plus代数(熱帯半環)が出現するのは対数h-マスロフ半環の古典極限(h→+∞、h→-∞)としてである。

h = 0 のとき(もともとののプランク定数が無限大にいくとき)、マスロフ和は定義できないが、hが正で0に近いときの状況を見ると、h-マスロフ和のサマンドが、大小に関係なく平準化され(民主主義?いや共産主義?)、その後で大きなベキにより発散してしまう。

hを複素球面で動かすとすると、0と∞に特異性が残るだろうが、他は定義されてしまうのだろうか? だとすると、複素プランク定数の意味は何だろう?