右ケリー双対と左ケリー双対が一致する圏:等方的剛性
任意のAに対してケリー双対系(A, R, η, ε)、(L, A, δ, γ)が存在するような圏は堅い圏と呼ぶ。A|→R、A|→L が写像として与えられているとして、R=A#、L=A*とする。η, ε(右双対)、δ, γ(左双対)もAをパラメータとして与えられる。
以下、イコールは同型を意味する、とする。
まず、一般的に、
- (A#)* = A
- (A*)# = A
定義から自明にちかいが、あからさまな同型の表示は次のようにして得られる。
- η:O→A#+A
- ε:A+A#→O
- δ:O→A#+(A#)*
- γ:(A#)*+A#→O
具体的な同型φ、ψは:
- φ:= [(A#)*+η];(γ+A)
- ψ:= (A+δ);[ε+(A#)*]
「右(左)ケリー双対の一意性」とまったく同様にして、これが同型であることを示せる。
さて、いまの状況で以下の命題は同値。
- A# = A*
- A## = A
- A** = A
これらを言い換えると、
まず、(1)⇒(2);A# = A* の両辺に#を作用させると、
A## = (A*)#、ところが右辺はAだから、A## = A。
(2)⇒(1);A## = A の両辺に*を作用させると、(A##)* = A*、ところが左辺は(A#)#*なのでA#。したがって、A# = A*。
(1)⇔(3)も同様。
η,εとδ,γに関しても議論の必要があるが、右と左が一致するような圏では、(-)#,η,ε、または (-)*,δ,γだけで議論を進めることができる。
右と左の区別が不要な堅い圏は、等方的に堅い圏(isotropically rigid category)と呼ぶことにする。