AbMon-圏からの行列圏構成
AbMonをアーベル(可換)モノイドの圏として、演算は(+, 0)で表記する。AbMonに具体的テンソル積を入れて、双半線形写像をテンソル積からの半線形写像とみなす。AbMonで豊饒化された圏はAbMon-圏と呼ぶ。
「双デカルト圏に関する補足 - 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」で述べたようにして、AbMon-圏Cの行列圏Mat(C)を定義できる。さらに:
- Mat(C)は双積を持ち、したがって双デカルト圏である。
これから、Mat(-)は、AbMon-Cat → BicartCat という関手を定義する。Matは一種の自由生成関手で、忘却関手と随伴になる。したがって、MatはAbMon-Cat上のモナドになる。Mat(Mat(C))は、レベル1の入れ子列とブロック行列の圏であり、モナド乗法は入れ子のフラット化である。
Mat構成の特別な例を挙げる。Kを半環として、Kを単一対象上のAbMon-圏とみなす。こうして出来上がった圏をK(AbMon-cat)とする。K(AbMon-cat)のただ1つの対象を1とすると、Mat(K(AbMon-cat))の対象は1の有限列で、その長さである整数と同一視できる。したがって、K係数の普通の行列全体をMat[K]とすると、Mat(K(AbMon-cat))とMat[K]は同型である。
このことから、AbMon-圏は半環の一般化であり、行列圏構成は半環の行列の一般化であることがわかる。