このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

トレース付き双デカルト・モノイド圏

木下「不動点をめぐる代数構造たち」(http://unit.aist.go.jp/cvs/tr-data/PS02-005.PDF)とKahl "Refactoring Heterogeneous Relation Algebras around Ordered Categories and Converse"(http://www.cosc.brocku.ca/Faculty/Winter/JoRMiCS/Vol1/PDF/v1n12.pdf)においてKleene圏が定義されている。これらは同等だが、適当にミックスした定義を採用する。

圏CがKleene圏であるあるとは:

  • C(A, B)が最小元0 = 0A,Bを持つjoin半束であり、結合C(A, B)×C(B, C)→C(A, C)はjoin半束の準同型である。
  • r∈C(A, A)に対してr*∈C(A, A)が定義されていて、以下の等式を満たす。

r:A→A, q:B→A, s:A→Cに対して、

  1. r* = id_A + r + r*;r* (recursive star definition)
  2. q;r⊆q ⇒ q;r* ⊆ q (right induction)
  3. r;s⊆s ⇒ r*;s ⊆ s (left induction)

順序⊆は、r⊆s ⇔ r + s = s なので等式的条件である。最小元を持つjoin半束は、可換ベキ等モノイドなので、Kleene圏は可換ベキ等モノイドの圏でenrichされていると考えてよい。

次の問題を考えたい。

  • ベキ等な双デカルト・モノイド圏がトレースを持つとき、その圏はKleene圏であるか?

まず、双デカルトなら半加法的(semi-additive、可換モノイドでenrichできる)を示す必要があるが、これは難しくないだろう。(+)を双積(双デカルト積)として、加法は f + g = Δ;(f(+)g);∇で定義すればよい。

ベキ等性を入れてないと、あまりうまくいきそうにない(やってみないと、よくわからないが)。Δ;(f(+)f);∇ = f がベキ等性になる。Δ(f(+)f) = f;Δを使えば、Δ;∇ = 1 (2 = 1)で十分かな。

Kleeneスターf* は、Tr(∇;f;Δ)と、トレースを使って定義できる。圏的構造からEnd(A)にinduceされる集合論的構造を調べるのがいいかもしれない。圏がある程度単純なときは、あるUのEnd(U)のKleene代数構造から圏の構造も決まると思う。“ある程度単純”をうまく定義しないといけないが。