個体の属性と関係性における役割
up-to-isoの話をするとき、up-to-isoで決まる性質は、個体に貼り付いているというよりは、全体構造のなかで個体に与えられた役割と解釈すべき -- という話を僕はするのだが、個体の属性と役割の区別は難しい。
N君が、距離空間の勉強をしていて、距離空間XとA⊆Xがあるとして、Aの導集合に関する次の“予測”をしていた。Aの導集合とは、Aの集積点の集合でAdと書く。
- (Ad)d = Ad
その理由は、
- Adは、Aの孤立点を除いてAの境界をすべてくっつけた閉集合である。
- Adでは、除くものは既に除かれており、追加すべきものは既に追加されているので、2回やっても変わらない。
これは、孤立点や境界点という概念をXの点の固有属性だと勘違いしている。(X, A)の環境(あるいは文脈)でAdが決まる。次に導集合を作るときは、(X, Ad)という環境なので、新環境で孤立点や境界という“役割”を与え直す必要がある。
ちなみに、(Ad)d = Ad の反例は、
- X = R, A = {x∈R | ∃n∈N>0.(x = 1/n)}∪{0}