論理の導入
当然ながら、いきなり専門用語は避けたほうがいい。
代替の言葉 | 論理の専門用語 |
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文 | 命題、論理式 |
接続詞 | 論理結合子 |
主語変数 | 個体変数、束縛変数 |
固有名詞 | 個体定数 |
主語変数を持つ文 | 命題関数、単項述語 |
当てはめ、置き換え | 変数置換、具体化 |
Pが単項述語のとき、P(x) の形に書いてxを主語変数と呼ぶ。「主語が変数になる」というソノマンマの意味。論理式は文と呼んでさしつかえない。インスティチューションでは実際に「文」(sentence)だ。
文を構成する文を、全体に対して相対的に「節」と呼ぶ。基本となる文は基本文とか単純文、接続詞(論理結合子のこと)で構成された文は複合文と呼ぶ。文法で聞いたことがあるような言葉使いだ。
AND, OR, NOT, IF(conditional, implication)は特に問題ない。∀、∃の導入が問題。P(x)のような主語変数を含む文(文関数)を意外とスンナリ理解できるから、しばらくはP(x)を全称命題の代わりに使う。
現実的に、開いた文(自由変数を含む論理式)を全称命題の代わりに使うことは多いから、暗黙の全称束縛を仮定して、P(x)を使う。
次の形のモーダスポネンスは例が多いし、普通に理解可能。
(1) P(x)→Q(x) ---------------[1] P(a) (2) P(a)→Q(a) ----------------------[2] Q(a)
ここで、
- aは個体定数
- (1)は暗黙に全称束縛がされていて、∀x.(P(x)→Q(x)) のこと。
- [1]は具体化
- [2]は普通のモーダスポネンス
具体化の過程を省略(暗黙化)した次の形のほうが理解しやすいかもしれない。
P(a) P(x)→Q(x) ------------------ Q(a)
例:
ソクラテスは人間である。人間はいずれ死ぬ。 ------------------------------------------ ソクラテスはいずれ死ぬ。
タマは猫である。猫は肉球を持つ。 -------------------------------- タマは肉球を持つ。
集合との関連で言えば、主語変数(個体変数で暗黙に全称束縛されている)の範囲を示すために集合を導入すればいいかもしれない。
P(x)のxが動く範囲を集合Aだとして、(x∈A)P(x) のように、注釈的に集合Aを添える。そして、これを全称束縛 ∀x∈A.P(x) と解釈する。全称束縛を括弧だけで前置させる記号も実際にあるしね。
- (x∈Man)loves(x, y) どんな男も何か(y)を愛する
これに対して、限量子による変形
- (y∈Woman)(x∈Man)loves(x, y)
- (∃y∈Woman)(x∈Man)loves(x, y)
- (x∈Man)(∃y∈Woman)loves(x, y)
こういうのは、lovesを有向二部グラフで書くといいのかな。