値が従う分布
「t分布とはt値が従う分布です」の意味は次のように解釈する。
t値のような通常の関数を統計値関数と呼ぶことにする。これは確率変数Xと関係するが、実際に使うのはXの値の空間であるVだけ。統計値関数は、Vのn直積上の関数。すべてのnに対して定義されていることが多い。
なんらかの統計値関数 ψ:Vn→W があると、V値の確率変数Xに対する ψ(X) = ψ(X1, ..., Xn) が定義できる。これを正確の言うと、Xと同分布で独立な確率変数列 X1, ..., Xn を準備して、結合(合成) <X1, ..., Xn>;ψ を作る。これを、ψ(X1, ..., Xn) という記法で書く。さらには、ψ(X) と書く(酷すぎるがしょうがない)。
ψが統計値関数のとき、確率変数であるψ(X)を(ψが定義する)統計量と呼ぶ。統計値関数と統計量は区別されないことが多い(酷い!)。
確率変数ψ(X)は母集団からの可測写像になるので、母集団が持っている確率測度のψ(X)に沿った前送り測度が定義できる。それが、統計量の分布。
結果的に、統計値関数があると、対応する分布(密度関数)が定義できる。これが「t分布とはt値が従う分布です」の背景(だろう)。