『プロメテウス』
ネタバレ。
「リドリー・スコットも老いたか?」ってのが僕の感想。
SF映画としてつまらないわけじゃないし、ビジュアルも見応えがある。だが、『エイリアン』『ブレードランナー』を知っている僕としてはチョット … …。ギーガーの有機物っぽいデザインとか人間型ロボットの独特な感じは、あーやっぱりリドリー・スコット、懐かしい、という感じなんだけど、自己模倣に陥っている感じがする。
自分を模倣しているってことはつまり、「リドリー・スコットらしい」とも言えるんだけど、リドリー・スコット流/リドリー・スコット節つうよりは、なんかリドリー・スコット風なんだよね。他の誰かがリドリー・スコットをリスペクトしてオマージュとして作りました、と言われても「そうか」と思えてしまう。
今となっては『エイリアン』も『ブレードランナー』も、その映像/ストーリーの記憶が定かでは無いけど、有機的で暗くて汚れた、だけどカッコイイ映像だったと思う。『プロメテウス』は、3Dでもあるし、なんかお金をかけた今風の、ちょっと小奇麗な画面を使ってしまって、僕には興ざめだなー。おどろおどろしい感じが薄くなってしまった。話は、この後『エイリアン』に回帰するらしいけど、ストーリーはともかく、映像が接合する気がしない。
『プロメテウス』のヒロイン;エリザベス・ショー博士(配役はスウェーデンの女優ノオミ・ラパス)は、『エイリアン』のリプリー同様に、超タフな女性。強い女性大好きな僕だから、ヒロインがタフなのはいいのだけど、エリザベスはちょっと強すぎだ。カッコイイを通り越して「こいつ、化物だろう」となって感情移入できない。いくらなんでも、あんなに強い人間はいないだろう。
女優ノオミ・ラパスはけっこういいと思うが、アカデミー主演女優賞のシャーリーズ・セロン(ヴィッカーズ役)が良かった。ストーリーのなかでもロボットと疑られたりするが、ちょっと無機質な美人。最後のほうでヴィッカーズの正体は(曖昧に)分かるが、このくだりは陳腐。
最初のシーンがよくわからん。最後のほうで出てくる大きな異星人(エンジニアと呼ばれている)と同じヤツが出てくるが、なんだったんだ? 大きな異星人のキャラクターはけっこう好きだ。ウェイランド*1というビル・ゲイツも真っ青な成功者が、神、創造主、救世主だと信じて会ったら、単に暴力的で身勝手な宇宙人だった、と。ウェイランドもガックリな身も蓋もない感じが良い。
単に暴力的で身勝手な宇宙人(so-called エンジニア)が作った生物兵器が、当の宇宙人と合体した生物があのエイリアンってことらしい。
ロボットのディビットもわけわからん奴だ。イケメンで憎めなかったりするが、コイツは少しオカシイ。
登場人物で親しみが持てたのは、プロメテウス号船長のヤネック、船員のチャンスとラヴェル、この3人のスタッフだけだな。