このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

T = T^2 ですべてがつぶれる

「『二分木領域=T』の多項式で生成される圏」という状況は後で正確に説明する(たぶん)。その圏の無限領域だけを集めた圏をBとする。Bバーンサイド環(結局は環になる)がつぶれるかどうか、という問題。

「1 = 0」が成立するとつぶれる。「-1 = 0」でも同じくつぶれるから、N = Z 、つまり、T3 = 1 + T3 が成立するかどうかが問題になる。T3 = 1 + T3 を仮定すると、


T^3 = 1 + T^3
-------------------------[両辺にTを足す]
T + T^3 = T + (1 + T^3)
-------------------------[左辺に2-縮約]
T^2 = T + (1 + T^3)
-------------------------[Z = 1 + T^3 の性質]
T^2 = T
となり、T = T^2 が出る。よって、T = T^2 を否定できれば、 T^3 = 1 + T^3 を否定でき、バーンサイド環の崩壊を防げる。

一般に、x = 1 + x^2 と x = x^2 が矛盾するわけではない。x = ω = 加算基数とすると、これは成立する。いま x = 1 + x^2 だけを仮定した整係数多項式のセオリーを Th(x = 1 + x^2) とする。もし、

  • Th(x = 1 + x^2) |- x = x^2

だったら、Th(x = 1 + x^2) の任意のモデルMで M |= x = x^2 だが、これはそうじゃないモデルを作って否定できるので、Th(x = 1 + x^2) |- x = x^2 でないことは分かる。

さて、圏Bの射とは、実は構文的に定義されたもので、Th(x = 1 + x^2)に対応する圏論的セオリー CatTh(X 〜 I + X^2) の自由圏、つまりモデル圏(レルム)の始対象(である圏)として構成されている。圏B内で、T 〜 T^2 を与える射が存在しないとは、CatTh(X 〜 I + X^2) の自由圏に対応する射がないことである。

そこで、自由圏にT 〜 T^2 を与える射が存在したとして矛盾を導くことになる。ここは、ちゃんと追ってないのだが、仮定を満たす射が存在すると自由圏(始対象)でなくなることを、実際に2つ以上の射を構成して示すのだろうと思う。

ここがうまくいけば、「自由性と矛盾するからそのような射はない」と言える。議論をさかのぼって、T = T^2 は否定される。T ≠ T^2 が確実に言えれば、かなりの数の非存在命題が出てくる。1<k<7 に対する T = T^k の否定も言えるだろと思う。

だが、以上のシナリオは、圏論的モデル論にヘビーに頼った方法で、大げさすぎないか? 計算量の評価とかで出来るんじゃないのか?

それはそうとして、T = T^2 を仮定すると、直積ベキはすべてつぶれて、多項式が nI + mT の形になるが、1 + T^2 = 1 + T = T を使うと、定数でない多項式はTだけになる。

まず、1 + T = T を繰り返し使えば、n + T = T となる。一方、1 + T = T の両辺にTを掛けて T + T^2 = T^2、これから T + T = 2T = T。これらを繰り返し使えば、nI + mT = T が言える。これは矛盾でもなんでもない。T = ω では実際に起きる現象。