接続のマクロな記述と圏論的解釈
接続=平行移動を代数的に記述するなら共変微分作用素になる。Vがベクトル束、Tが接束のとき、∇:Γ(V)→Γ(V(×)T*)で、次のライプニッツ法則を満たすものが共変微分。
- ∇(Af) = (∇A)f + df・A
f∈:R、X∈:V、・はテンソル積(かける順序は適当に調整)。
この定義は微分を使っているので、結局はミクロ構造を定義することになる。
そうじゃなくて、マクロな構造として記述するとどうなるか? 考えてみた; まず、多様体Mの道の全体を圏と考えてM~とする。Ob(M~) = Mで、M~(p, q) = {pからqに至る道} となる。道は、実数区間[0, a]でパラメータ付けされているとして、正数aを道の長さと呼び、|γ| = (道γの長さ) とする。雰囲気としては、接束Tの元が生成グラフで、道の圏は自由生成された圏Cat(T)みたいなもの。
道の圏M~から、ベクトル空間Vectへの関手を接続(または平行移動)と呼ぶ。道γに対して逆行する道をγ*とする。逆行は一種のスター作用素なので、M~はある主の双対構造(共役構造)を持つ。このスター作用素も考慮に入れて接続Fを定義すると:
- F(γ;δ) = F(γ);F(δ)
- F(idp) = idF(p)
- F(γ*) = F(γ)-1
3番目の条件から、接続は線形同型の圏に値を取る。よって、Vectの代わりに亜群Iso(Vect)を値としてもよい。(M~は亜群ではない。)
接続は関手なので、自然変換により「接続の射」を定義する。と、M上の接続の全体Conn(M)は関手圏として圏となる。接続の同型は、この圏での同型(関手の自然同値)で定義する。値がVectなので、双対、直和、テンソル積も定義できて、線形代数ができる。
Conn(1点)はVectのことで、Conn(M)もVectとほとんど同じ。内部ホムも定義できる。全体として見れば、可換環Γ(R)上の加群の圏に埋め込める。
接続Fが、任意のp∈Mに対してF(p) = V ならば、V-単純接続と呼ぶ。このときは、道はすべてIso(V, V) = Auto(V) に写る。 V-単純接続が積束M×V上の接続に対応する。すべての道がidVに写る自明な接続が自明束(の標準的接続)に対応する。
こうやって、道と関手を使って定義した接続から、最初の微分作用素が出せるか?
言い忘れた:道の長さ|γ|は、圏M~から、非負実数の足し算の圏への関手になる。あと、ループの集合M~(p, p)からAuto(F(p))への写像は、ホロノミーを定義する。