モノイド二重圏
二重圏の定義としては、「“圏の圏Cat”のなかの圏対象(内部圏)」というのが一番スッキリしていると思う。だが、この定義だと、演算法則が露骨に表示されないので、具体性に乏しいし、実際の計算もやりにくい。それに巨大な(小さくない)二重圏の定義には不安がある。
それで、演算を具体的に書き下ろした初等的(1階述語論理ベースの)定義が欲しくなる。初等的定義は、例えば、ロベルト・ブルーニ、ウーゴ・モンタナリ(Roberto Bruni, Ugo Montanari)の"Cartesian Closed Double Categories, ..."(http://citeseer.ist.psu.edu/216729.html)にある、あまり形式的な定義ではないけど。
「圏の圏の圏対象」(苦笑)という定義と初等的定義は一長一短。だが、「圏の圏の圏対象」なら、イコールの代わりに圏同値を使えば、弱二重圏(あるいは疑二重圏かな)を定義できる。それと、「モノイド圏の圏の圏対象」としてモノイド二重圏(monoidal double categories)もすぐさま定義できる。
適当なアンビエント圏(それ自体が構造を持つ圏でもよい)のなかで、内部構造(internal structure)を考えるのはうまい方法だ。ひょっとして、ステファネスクのMIX代数は、「トレース付き圏の圏の“トレース付き圏”対象」とか「モノイド二重圏の圏の“トレース付き圏”対象」とかにならないかな?
境界付きグラフの圏、リグラフ(rigraph)の圏はモノイド二重圏だし、遷移翻訳系(トランスデューサ)の圏は、モノイド二重圏にさらに別なモノイド構造とトレースが加わった構造になっている。モノイド積が2つあれば、半環圏(semiringal categories)も自然に出てくるだろう、たぶん。