このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

モノイド二重圏

二重圏の定義としては、「“圏の圏Cat”のなかの圏対象(内部圏)」というのが一番スッキリしていると思う。だが、この定義だと、演算法則が露骨に表示されないので、具体性に乏しいし、実際の計算もやりにくい。それに巨大な(小さくない)二重圏の定義には不安がある。

それで、演算を具体的に書き下ろした初等的(1階述語論理ベースの)定義が欲しくなる。初等的定義は、例えば、ロベルト・ブルーニ、ウーゴ・モンタナリ(Roberto Bruni, Ugo Montanari)の"Cartesian Closed Double Categories, ..."(http://citeseer.ist.psu.edu/216729.html)にある、あまり形式的な定義ではないけど。

「圏の圏の圏対象」(苦笑)という定義と初等的定義は一長一短。だが、「圏の圏の圏対象」なら、イコールの代わりに圏同値を使えば、弱二重圏(あるいは疑二重圏かな)を定義できる。それと、「モノイド圏の圏の圏対象」としてモノイド二重圏(monoidal double categories)もすぐさま定義できる。

適当なアンビエント圏(それ自体が構造を持つ圏でもよい)のなかで、内部構造(internal structure)を考えるのはうまい方法だ。ひょっとして、ステファネスクのMIX代数は、「トレース付き圏の圏の“トレース付き圏”対象」とか「モノイド二重圏の圏の“トレース付き圏”対象」とかにならないかな?

境界付きグラフの圏、リグラフ(rigraph)の圏はモノイド二重圏だし、遷移翻訳系(トランスデューサ)の圏は、モノイド二重圏にさらに別なモノイド構造とトレースが加わった構造になっている。モノイド積が2つあれば、半環圏(semiringal categories)も自然に出てくるだろう、たぶん。