コンポネントとマンダラ再論
以前、マンダラの話を書いたが、ついつい単純なものを求めたくなる。いかん、いかん。
世界はどえらく複雑なのだ!
とりあえずコンポネントの圏がどれほどに複雑かを思い出しておこう。出力付きのリグラフ(rigraph)でコンポネントがモデル化されているとする。入力アルファベットはA、出力アルファベットがB、始(初期)状態がI、終状態がF、全状態がSだとする。
簡単のために入力ポートも出力ポートも常に1本だとすると、Iから状態遷移を初めてFに至る実行経路(ラン)により、A*→L(B) = Pow(B*) が決まる。
S上の遷移翻訳(トランスデュース;変換)規則をτとして、τ=(S, I, F, A, B, τ)のように略記する。すると:
- τは、I→F という射とみなせる。結合は境界のグルーイングτ#ρである。
- τは、A→B という射とみなせる。結合は入出力同期結合τ;ρである。
- 直和τ+ρも考えられる。
- 直積τ×ρも考えられる。
- グラフのマップまたは関係f:τ→ρは、2-射と考えられる。
- +, #に関して繰り返し型の(加法的)トレースATrが作れる
- ×, ;に関して存在型の(乗法的)トレースMTrが作れる
- +, #に関するトレースから時間逆行(または反粒子)を許すコンパクト閉圏が作れる
- ×, ;に関するトレースから双方向の対話圏(コンパクト閉圏)が作れる
相空間と力学法則のアナロジーも使えるし、線形代数、形式言語理論のアナロジーも使える。が、どれよりももっと複雑だ。単純化しないで、ガマン、そのまま定式化しないとね。