ダガー行列圏
半環にダガーまたは包合と呼ばれる演算が備わっているとき、それをダガー半環(dagger semiring)と呼ぶ。ダガーの公理(冗長だが)は:
- a†† = a
- (a + b)† = a† + b†
- (ab)† = b†a†
- 0† = 0
- 1† = 1
Rがダガー半環として、R係数の行列A:n→mに対して、A†は、反転して成分をダガーしたものだとする。明らかにA†:m→n。さらに、行列達もダガー半環と同じ性質を持つ。
行列圏の対象nに対してはn† = n とすると、ダガーは反変関手Dag : Mat(X, R)→Mat(X, R)になる。この関手は、identity-on-objectsの対蹠的反変モノイド関手なので、セリンガーの意味の圏論的ダガーである。よって、ダガー半環係数の行列圏はダガー圏になる。
実例は、ダガー集合(包合的演算を持つ集合)をアルファベットとする列言語の半環に、反転によりダガーを入れたものを係数とする行列圏。