このブログは、旧・はてなダイアリー「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama-memo/)のデータを移行・保存したものであり、今後(2019年1月以降)更新の予定はありません。

今後の更新は、新しいブログ http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/ で行います。

自由構成は重要だ

"GENERIC COMMUTATIVE SEPARABLE ALGEBRAS AND COSPANS OF GRAPHS"(http://www.tac.mta.ca/tac/volumes/15/6/15-06.pdf)とか、アブラムスキーの"Abstract Scalars, Loops, and Free Traced and Strongly Compact Closed Categoris"(http://web.comlab.ox.ac.uk/oucl/work/samson.abramsky/calco05.pdf、関連資料はgoogle:site:web.comlab.ox.ac.uk "compact closed category"で探せる)とかを眺めるに、圏の自由構成が非常に大事なことがわかる。

圏に関するあるセオリー(形式的理論)TがあるときFreeCat[T](Σ)を(圏的な)指標Σから生成される自由T圏だとする。FreeCat(Σ) = FreeCat[](Σ)は単なるプレーンな自由圏とする。1を自明な指標として:

  • FreeCat(1) = {1つの対象と恒等だけの圏}
  • Mはモノイド圏論として、FreeCat[M](1) = (N, +, 0) 射は恒等だけ、離散的な可算圏。1以外の指標では非可換積になる。
  • SMは対称モノイド圏論として、FreeCat[SM](1) = (N, +, 0)に加えて、Hom(n, m) = if (n = m) S(n) else Empty (S(n)は対称群)となるgroupoid。
  • BMはブレイドモノイド(braided monoidal)圏論として、FreeCat[BM](1) = (N, +, 0)に加えて、Hom(n, m) = if (n = m) B(n) else Empty (B(n)はブレイド群)となるgroupoid。
  • SM-dはdischarger付き対称モノイド圏論として、FreeCat[SM-d](1) = (N, +, 0)に加えて、Hom(n, m) = {[m]から[n]への単射の圏}
  • BM-dはdischarger付きブレイドモノイド圏論として、FreeCat[BM-d](1) = (N, +, 0)に加えて、Hom(n, m) = {n≧m で、射はストランドの途中消滅を許すブレイド}

セオリーTに対するT圏の圏をCAT[T]とすると、FreeCat[T](1)はCAT[T]の始対象となる。

いろいろなTに関して関手FreeCat[T]:Sign→CAT[T] を具体的に構成することは重要だし、いろいろと役に立つ。例えば、クリーネ圏(Kleene圏)、コンウェイ圏(Conway圏)、コンパクト閉ブレイド圏の自由構成など。