n-セオリーとインスティチューション
やった、n-セオリーから自然にインスティチューションが出てくる。
n-セオリー
まず、n-セオリーのk-段階(k-階層、次元k)の定義:
- (At dimension k): Σk∈0k-Spef[Σk+1], Ak∈0k-Mod[Σk+1](Σk, Ak+1)
- Ck := k-Mod[Σk+1](Σk, Ak+1)
- k-Mod[Σk+1]:k-Spef[Σk+1]×Ck→Ck
- k-Mod[Σk+1](σ, X) := Ck+1↑[Freek(σ), X]
ここで、C↑[X, Y] は、Cがデカルト閉n-圏だとしての指数(内部ホムn--圏)。Freekはk-レイヤーの自由生成関手。レイヤーごとに、k-Spef[Σk+1] と Ck のあいだの随伴系が必要。
これが重要、つうかこれが全てと言ってもいい。事例を出すと:
...
(At dimension 3): Σ3∈03-Spef[Σ3+1], A3∈03-Mod[Σ3+1](Σ3, A3+1)
(At dimension 2): Σ2∈02-Spef[Σ2+1], A2∈02-Mod[Σ2+1](Σ2, A2+1)
次元kのこの構造を、k-レイヤーと呼ぶことにする。(k-パートは関手の場合に、0-パートとか1-パートとか使う。他の候補はk-ストレイタム。)k-レイヤーの定義には(k+1)-レイヤーが必要になる。k-レイヤーを(Σk, Ak)とも書く。
- Σkは、k-仕様と呼ぶ。k-仕様はk-圏の生成系である。
- Akは、選ばれたk-インスタンスで、下の階層のアンビエントとなるのでk-アンビエントとも呼ぶ(やめるかも)。k-アンビエントの構造の台は(k-1)-圏である。ここが名前と実体の次元が感覚的にズレる(実際はズレてない)ので注意。k-アンビエント(k-構造)の台をアンビエント(k-1)-圏とも呼ぶ。
- k-Mod[Σk+1](Σk, Ak+1)は、k-圏からなる(k+1)-圏である。これをCkとも書いて、セオリーのk-クラスと呼ぶ。k-クラスはk-インスタンス=k-構造をホストするのでk-圏になる。
- Ck = k-Mod[Σk+1](Σk, Ak+1)の対象を、k-インスタンス(k-構造)と呼ぶ。アンビエントの場合と同じように、名前と実体の次元がズレる(ズレたような気分がする)。k-インスタンスの台は(k-1)-圏なので、台をインスタンス(k-1)-圏とも呼ぶ。
紛らわしいところをまとめると:
- k-アンビエントの台は、(k-1)-圏である。k-アンビエントはk-インスタンスでk-構造なのだから、台は次元が下がる。
- k-Modは、(k+1)-圏、対象はk-構造、対象(k-構造)の台は(k-1)-圏である。
- k-インスタンスはk-Modの対象(k-構造)なので、構造の台対象(k-1)-圏である。
- k-アンビエント(k-構造)は、特定されたk-インスタンス(k-構造)である。
下限次元(最小次元)がnであるセオリーをn-セオリーと呼ぶ。例えば、2-セオリーは、次元2までのレイヤーを持つ。上限はないので、いくらでも高い次元のレイヤーを持つ。次元はレイヤーのz-インデックス。
n-レイヤーの構成素は:
- 指標/仕様のn-圏
- クラスと呼ばれるデカルト閉n-圏
- 仕様n-圏とクラスn-圏のあいだの自由生成・忘却スタイルの随伴系
- 仕様n-圏から選ばれた対象(n-仕様)、一階層下のメタ仕様(教義のドクトリン)になる。
- クラスn-圏から選ばれた対象(n-インスタンス)、一階層下のアンビエントになる。
インスティチューション
インスティチューションにも次元nがって、
- (n+1)-セオリーがあると、n-インスティチューションが作れる。
- n-インスティチューションを作るには、(n+1)-セオリーが必要。
かようにセオリーとインスティチューションは相互依存的で、お互いを必要としている。一心同体と言ってもいい。
単にインスティチューションと言った場合は1-インスティチューションを指す。したがって、インスティチューションは2-セオリー=ドクトリンを必要とする。ドクトリンを、D = {(Σk, Ak) | k≧2}と書く。
ドクトリンDに対してインスティチューション (Sig, Mod, Sen, (-)*, (-)*, |=) を作る。
- Sig := 1-Sig[Σ2]
- Mod := 1-Mod[Σ2](-, A2)
- For σ in Sig. Sen(σ) := (Super(σ) in 1-Spef[Σ2])
- For φ:σ→σ' in Sig. For M:(Free(σ')→A2. φ*(M) := φ;M :σ→A2 in (1-Mod[Σ2](σ, A2) = Sig)
(-)*, |= は面倒なんで少し説明をする。
Sig = 1-Sig[Σ2] と定義した。1-Sig[Σ2] ⊆ 1-Spef[Σ2] なので、作業用に、Spef := 1-Spef[Σ2] と置く。既にSenは定義したが、
- Sen(σ) := (Super(σ) in Spef)
Super(σ)とは何かというと、圏Spefのなかで σ⊆τ となる inclusion map の全体からなるクラス SUPER(σ) を同値関係で割ったもので、Sub(σ)のある種の双対になる。
φ:σ→σ' in Sig に対して、φ*:Sen(σ)→Sen(σ') in Set は前送り〈push-forward | pushout〉で定義する。σ⊆τ は i:σ→τ in Spef とみなして、
σ -φ→ σ'
i ?
v v
τ - ?→ ?τ'
上記の図式は可換に埋められる〈can be fulfilled〉とする。Spefを有限余完備と仮定するわけだ。埋められた対象(?τ')を φ*(τ) とすると、
- mono ?:σ'→φ*(τ) in Spef
- σ'⊆φ*(τ)
- φ*(τ)∈Super(σ')
- φ*(τ)∈Sen(σ')
M' in Mod(σ'), τ∈Sen(σ) に対して、
- φ*M' |=σ τ ⇔ M' |=σ' φ*τ --(充足性条件)
が必要。N |=σ τ の定義は:
- (σ⊆τ)* : Mod(τ)→Mod(σ)
- N |=σ τ :⇔ N in Im( (σ⊆τ)* )
指標σと仕様τのあいだの包含 σ⊆τ in Spef があると、モデル圏(モデル1-圏)のあいだの関手が誘導される。誘導された関手は、部分圏の埋め込みだが、対象Nがその部分圏に入っているかどうかを判断するのが |= 。
Sen(σ)は最初からプレ順序構造を持ち、そのブレ順序はMod(σ)の部分圏の束構造に反映される。したがって、充足関係と充足条件(充足関係の公理)は、モデル圏の部分圏の束構造が、リダクト関手φ*と強調していることを示す。
モデル・リダクト関手(モデルの単純引き戻し)と文翻訳関手(文の余ファイバー前送り)の定義から、これらは強調するようになっている。
- φ*M' in Im( (σ⊆τ)* ) ⇔ M' in Im( (σ'⊆φ*)* )
- φ;M' ∈0 Mod(τ) ⇔ M' ∈0 Mod(φ*(τ))
形式理論は、構文論と意味論からなるが、構文論が指標/仕様のn-圏が担当し、意味論をクラスのn-圏が担当する。選ばれた仕様が構造の種別を決定して、その仕様に対するモデル圏が意味論を与える。ただし、モデル圏はアンビエントに依存して。そのアンビエントは一階層上の選ばれたインスタンスとなる。
一階層上で選ばれた仕様とインスタンスがあり、選ばれた仕様が下の階層のドクトリン仕様、選ばれたインスタンスが下の階層のアンビエントを与える。
クラス、型、型クラス、ドクトリン、セオリーなどが、構文側の存在(指標、仕様)を指すか、意味論側の存在(n-圏、アンビエント)を指すのかがマチマチ。