社会科学系の記述と証明
以前、次のようなことを書いた。
結局、用語の定義も推論に使っている論理もよく分からないので、言ってることも意味不明ということだった。
事情があって、次のスライドを見ていたが、
社会科学系で、哲学よりマシだが、やっぱり用語の定義も命題の記述も曖昧。だが、これはこれで半形式証明スクリプトの例題にいいと思う。
とりあえず、上記スライドで使っている記述形式を順不同で列挙する。
- Suppose that 命題
- 命題 if 命題 (後置if文)
- But 命題 (butは接続詞なんだが、ニュアンスだけかも)
- Instead 命題 (butに近い)
- 命題 where 定義 (後置の定義、後追いの定義、letの逆順)
- 名前 is a/an x such that 命題 (定義)
- 名前 occurs when 命題 (よく分からない定義、後述)
- if 命題 then 命題 (条件付き命題)
- If a 名前 occurs (名前は述語で、その述語のインスタンスの存在を条件としている)
- there is no 名前 (名前は述語で、その述語のインスタンスの非存在の主張)
- 命題1 whenever 命題2 (if 命題2 then 命題1 と同義だろう)
- Suppose 命題. Then 命題 (supposeが仮定の導入)
- 命題1. Why? 命題2 (後付けの合理化、becauseを後に書くのと同じ、「なんとなれば」)
- We know that 命題 (確認かな)
- x would be a 名前 (名前は述語で、名前(x) にニュアンス入れたんだろう)
- now we have that 命題 (then 命題 と変わらないと思う)
- and we have (now we have と変わらないと思う)
- we have a 名詞 と we have that 命題 がある。名詞は述語である。
- we are done. (QEDと同じ)
- So suppose that 命題 (soは雰囲気接続詞だと思う)
- Clearly we need to have (clearlyは雰囲気副詞、we need to haveはサブターゲティング文)
- x must be 名詞/形容詞 (これもサブターゲティング文だろう)
- So now we have (so nowは雰囲気接続詞)
「よく分からない定義」の例
A Condorcet Cycle occurs when there is a violation of transitivity in the
social preference ordering.
次のようかな?
- A Condorcet Cycle is a cycle c in R such that (∃c in R) ⇔ ¬(transitive(R))
しかし、cycleの意味が不明(未定義)なので、やはり分からない。cycleの意味の候補として:
- グラフ理論の意味でのサイクル:k頂点k有向辺からなる輪状グラフCnからGへの任意の有向グラフ射。
- グラフ理論的だが、狭義のサイクル:Cnからの写像(グラフ射)で、辺パートが単射なもの。
- ホモロジー的なサイクル:チェーン複体を作って、境界作用素の核の要素。
想像では、グラフ理論的な狭義のサイクルであって、さらにグラフ射として頂点パートが全単射であることを要求しているような気もする。それは他の記述からの僕の推測である。推測させる点でダメ。
上の定義を見ると、「コンドルセ・サイクルとは…である」という形ではなくて、「コンドルセ・サイクルが生じる〈occurs〉のは、… のときである」になっていて、コンドルセ・サイクルの発生原因、発生状況を記述してるだけで、コンドルセ・サイクルそのものが何であるかは定義してない。それを「定義」と呼んでいる -- ダメだなー。
例があるのはいいのだが、例のなかに、定義や証明の細部を推測する情報を入れている。例がないと、定義や証明を理解できないのは良くない。