キングコング: 髑髏島の巨神
点数を付けるなら、100点満点の15点くらいかな。ちなみに、『シン・ゴジラ』は95点、100点でもいいけど、これより上の映画が出る可能性の分を残して95点。このあいだ観て「可もなく不可もなく」だった『アサシンクリード』は50点。
映画はストーリーが重要だな、としみじみ感じさせてくれる駄作。ストーリーは5点以下の評価だけど、怪獣ファイトシーンの迫力でプラス10点。まー、ともかくストーリーが酷い。誰があんなオハナシを書いたんだろう? ポール・アンダーソンもストーリー・テリングが下手だが、まだマシに思える。
『シン・ゴジラ』のいいところは、いくつかの前提を(根拠はないが公理として)飲み込めば、そのあとは整合的な世界が展開されるところ。『キングコング』は、いくら何でも飲み込めない前提もあるし、それを認めてもあちこち破綻していて、ちょっと耐えられない。
登場人物があり得ないバカであるところが苦痛でさえある。まー、オハナシを盛り上げるにはステレオタイプの役回りは必要だが、それにしても軍人パッカードの設定が酷すぎる。「俺の部下が」「部下のために」みたいなことばっかり言ってる上官で、自分の大バカな判断で次々と部下を死なせ、死んだ部下の復讐だとトチ狂ったことをやらかし部下を死なせ、その死んだ部下の復讐だと ……(以下同)
悪役・敵役でも、多少は感情移入できるとか、「あーいうヤツいそう」とか思えないと、見ててバカバカしくなるし、そのうち腹立たしくなる。一応は隊長でありトレーニングと経験を積んだはずのパッカードの行動原理が「知らないモノ見たら、とにかく銃撃して殺す」というノータリンでどうにもならんわ。
兵士の一人コールは、死体のそばで食事はじめたり、ガスが出てる地域でタバコ吸うバカなんだが、コイツのほうがまだしもキャラとして許せる。最後は自爆作戦で失敗して死ぬが、「コイツ、こういうヤツだったのか」という意外感もよい。
キングコングは現実感、というか哺乳類感があるのだが、もう少し強くしてもよい、つうか強くしないと今後厳しいのでは。ヘリコプター搭載の重火器でけっこう負傷していたので、あれじゃ通常兵器(非核兵器)でやられちゃう。シン・ゴジラの圧倒的・絶望的強さの前だと、あれじゃ瞬殺されちゃうよ。レジェンダリー版ゴジラは東宝ゴジラとは違うからいいのか?
[追記]
酷評したので補足的に良い所を。
映像は主にCGだと思うが、今風ではなくてどこか懐かしいテイストと空気感。コングの哺乳類感とか完全な二足歩行とか、きぐるみのような動きをする(モーションキャプチャか?)。悪役のクリーチャもそれぞれ独特の造形と雰囲気があり、良く出来ている。景色は本物で非常にきれいだ。
ストーリーはホントにどうしようもないのだが、太平洋戦争の生き残りマーロウと死んだ日本兵ガンペイ(イカリ・グンペイ)のくだりをスピンオフしたら面白いかも知れない。マーロウはガンペイを兄弟と呼んでいた。
あと、監督ジョーダン・ヴォート=ロバーツ自身のルックスはとても面白い。
[/追記]