Directed Acyclic Fluent Graphと代数的法則
有向グラフで、in-degreeが0のノードを湧き出しノード(source node)、out-degreeが0のノードを吸引ノード(sink node)と呼ぶ。sourceがチトまずい言葉だと思うが、日本語なら問題ない。湧き出しでも吸引でもないノードを流動ノード(fluent node)と呼ぶ。
グラフのノードがすべて流動ノードのとき、そのグラフは流動グラフ(fluent graph)と呼ぶ。これは有向グラフでだけ意味を持つ概念。また、流動性は局所的な概念で、ノードごとに個別に調べれば分かる。
有向グラフがサイクルを持たないときは非サイクル(acyclic; 非輪状、非循環)グラフと呼ぶ。サイクルを持つことは無向でも意味を持つ。ただし、無向サイクルに向き付けすると有向サイクルでなくなることはある。非サイクル性は大域的な性質で、局所的に見ていても分からない。
ストリング図(グラフとしては開グラフ、ストリング・グラフ)に関しても流動性、非サイクル性は定義できる。Vect上で定義された(Vectでラベルされた)ストリング図が流動的非サイクル(グラフとしてDAFG)であるとき、AF性はモノイド積、結合で保たれるんで、AF-SDは圏となる。
AF-SDだけで済ますことは、次のものを考えないことに対応する。
次のものは考える。
圏AF-SDの2セル(2-トラック)で表現できる法則は、
- 結合律
- 余結合律
- フロベニウス関係(双代数フロベニウス律)
- バブル律=双代数特殊律
標準四角形(最も簡単な三角形分割を与えられた四角形)の向き付けと対角フリップ(パヒナー 2-2 move)の組合せからは、結合律、余結合律、双代数フロベニウス律が出る。バブル変形からは、バブル律(双代数特殊律)が出る。このとき、非流動的グラフ、サイクリックグラフは禁止される。禁止しないで許すと、トレース二次形式に関する法則、ev, coev(unit)に関する法則が出る。
TQFTの構成ではスカラー量が本質的なので、サイクルは湧き出し/吸引ノードを禁止はできない。だが、簡素化のためにサイクルと湧き出し/吸引ノードを禁止するのはいいと思う。