独立性
確率変数の定義は確率とは関係ない。確率変数の独立性も可測空間の範囲で定義できるのかと思ったらそうではなかった。確率測度が定義に入り込む。
まず2つの事象の独立性は、p(A∩B) = p(A)p(B) という積の公式が成立すること。大きなσ代数に含まれる2つの部分σ代数Σ1, Σ2の独立性は:
- A∈Σ1, B∈Σ2 ならば、p(A∩B) = p(A)p(B)
2つ以上の独立性は、ペアを選んで互いに独立ではダメで、
- Ai∈Σi (i = 1, ..., n) ならば、p(A1∩...∩An) = p(Ai)...p(An)
無限個の族に関しては、任意の有限個を選んで独立。
確率変数の族Xiが独立なのは、Xi:U→Vi が引き戻しで作るσ代数達が独立なこと。
R2上の離散分布として、(1,0), (0, 1), (-1, 0), (0, -1) の四点に1/4の重さを置いたものを考える。周辺分布は、-1, 0, 1 の 1:2:1 の比率の分布になる。一方、{-1, 0, 1}×{-1, 0, 1} の9点に、限定以外は 1/12 の重さ、原点に 4/12 とすると、同じ周辺分布ができる。これは、周辺分布からは同時分布を決定できない例。
次は竹内(啓)本から: 3次元の点 (1,0,0), (0,1,0), (0,0,1), (1,1,1) に均等に重さを置く。それぞれの座標軸上の単位点と(1,1,1)だ。この同時分布に周辺分布を確率変数X, Y, Zとすると。ペアワイズに独立だが、(X, Y)の同時分布とZを考えると独立ではない。
確率空間の圏では、圏的直積はない(可測空間の圏ではある)。テンソル積を作ると、それはモイド積だが、直積の場合と似た射影を備えている。それで、射影付きテンソル積と呼ぶ。ただし、直積の射影ではない(用語の使用が矛盾的)。弱積と呼ぶこともある。
P1:A1A2→A1, P2:A1A2→A2 を射影として、X1:U→A1, X2:U→A2 が確率変数として、これらが独立だとは: 任意の Z:U→A1A2 に対して X1 = Z;P1, Y2 = Z;P2 と因子分解できること。
圏的な定式化なので、双対化できる。