確率変数の本音と建前
確率変数の用途・役割は、
- 元になる確率空間(バックエンド)から、新しい確率空間(フロントエンド)を定義する道具
元になる確率空間 | 新しい確率空間 | |
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台集合 | ときに母集団、ときに標本空間(混乱) | ときに標本空間(混乱)、なぜか状態空間 |
台集合の要素 | 個体、根本事象、標本点(混乱) | 標本値(混乱)、状態 |
可測集合 | 事象 | 値の範囲 |
測度 | 確率 | 分布 |
(台集合, σ代数(の生成系), 測度) = (状態空間, 値の範囲, 分布) として新しい確率測度空間が出来てしまうと、元になる確率空間は忘れることになる。事象の確率は、「事象の値が、とある値の範囲に入る確率」と翻訳される。しかし、この翻訳を引きずることに何の意味もなく(建前として残るだけ)、実質的には、分布の密度関数の区間積分を計算する手続きが中心になる。
この事情から実務計算中心の解説は、Rn上の色々な関数の積分計算の練習帳となる。このとき確率変数は、被積分関数=密度関数の独立変数となる。積分が済むと確率(累積)分布関数が得られる。こうなると、定積分重視の微積分の教科書と区別が付かなくなる。